1998 Fiscal Year Annual Research Report
3Dモデルを用いたバイオメカニカルシミュレーションシステムの開発研究
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09771862
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
三河 雅敏 昭和大学, 歯学部, 助手 (20276603)
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Keywords | 顎機能 / 顎運動 / 三次元立体モデル / バイオメカニカルコンディション / シミュレーション |
Research Abstract |
顎変形症、顎関節症などの顎形態・機能障害に対する診断をおこなう上で、顎運動の解析は不可欠なものとなっている。しかし、その解析方法の多くは、運動軌跡の定性的な評価にとどまっており、運動機能の障害部位を正確に抽出したり、その程度を定量的に評価し予後を判定しうるシステムには至っていないのが現状である。さらに、顎機能の障害は付着する筋群の複雑なメカニズムを介して発現するため、障害の発生機序を明らかにするためには、バイオメカニカル(生力学的)な解析が必要となる。このバイオメカニカルな解析は咬合器のような断片的な運動を再現したものでは到底解析不可能なことは言うまでもない。そこで、3次元立体モデルを用い、患者情報の抽出・再現を試みることとした。平成9年度に引きつづき患者固有のバイオメカニカルコンディションを抽出し、筋牽引ベクトルを算出、咀嚼筋固有の筋力を算出した。また、3Dソリッドモデル定位固定装置の改良を行ない、算出された被験者固有のバイオメカニカルコンディションを3Dソリッドモデル上に再現することを試みた。3Dソリッドモデル上にトランスファーされたバイオメカニカルな状況の妥当性を患者固有の顎運動情報、顎機能情報から評価することを試みたが咀嚼筋群の各筋における筋牽引ベクトルの主軸だけの情報では患者固有の忠実な顎運動の再現には程遠く、更なる改良・情報収集が必要であることが判明した。特に、顎関節部の運動に関しては関節円盤を介する運動であるためこの部位の運動をより詳細に解明する必要がある。また、このことは現在一般臨床で用いられているいかなる咬合器においても患者固有の顎運動の定性的評価を行うということも不可能であるということを示唆しており、顎変形症、顎関節症などの顎形態・機能障害に対する診断に対して3Dソリッドモデルの有用性が示唆された。
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