1997 Fiscal Year Annual Research Report
小窩裂溝部表層エナメル質の萠出後の経時的変化と酸処理効果
Project/Area Number |
09771884
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
渥美 信子 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (10221045)
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Keywords | シ-ラント / 無小柱エナメル質 / 小窩裂溝 |
Research Abstract |
シ-ラントの保持力を長期にわたり安定したものとするためには,窩溝開口部における内斜面エナメル質への強固な接着が必要であり,そのための十分な酸処理効果が得られることが重要である。しかし,小窩裂溝部表層エナメル質は,萠出後,唾液,食物等の外的環境に接することによって石灰化が促進される post eruptive maturationがあり,構造的変化が認められる。さらに,エナメル質表層には耐酸性のある無小柱エナメル質が存在しているため,期待する酸処理効果が得られていないように思われる。 そこで,シ-ラント接着の基礎的研究として,本年度は,小窩裂溝部表層エナメル質における無小柱エナメル質の観察を,萠出直前の未萠出小臼歯をコントロールとし,萠出後3年以内,6〜10年の小臼歯を用いて,走査型電子顕微鏡にて行った。 〔結果ならびに考察〕1.萠出直前の未萠出小臼歯では小窩裂溝部に無小柱エナメル質が存在することは少なく,その厚さもうすいものであった。2.萠出後3年以内のものでは,無小柱エナメル質の厚さ,存在部位は,未萠出歯と比較して明らかな違いは認められなかった。シ-ラントの適応となる萠出間もない歯は,無小柱エナメル質の厚さはうすい部位が多いと思われ,リン酸処理では表層が一層溶解消失するため,無柱部分は酸処理により溶解消失してしまうと考えられる。3.萠出後6〜10年経過したものでは,個体差はあるものの,無小柱エナメル質の厚さが厚くなる傾向にあった。
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