1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771901
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
斎藤 慎一 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (80283076)
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Keywords | シクロペンタジエニルカチオン / 反芳香族性 / ヒュッケル則 |
Research Abstract |
シクロペンタジエニルカチオンは一見ジエンとの共役により安定化されたカチオンであるとみなせるが、実際にはヒュッケル則により不安定化されたモノカチオンであり、強い酸性条件でのみ生成する。私はシクロペンタジエニルカチオンの反応性を明らかにするために、ペンタメチルシクロペンタジエニルクロライドを合成し、テトラフルオロホウ酸銀を用いてペンタメチルシクロペンタジエニルカチオンを発生させ、シリルエノールエーテルとの反応を試みた。するとペンタメチルシクロペンタジエニルプロパノンが得られることをみいだしゃた。また、エチルビニルエーテルとの反応では反応が急激に進行し、爆発が起こることがわかった。 さらにペンタメチルシクロペンタジエニルカチオンの物性についての情報を得るため、重水素で標識したペンタメチルシクロペンタジエニルクロライドの合成に着手した。まず、テトラメチルシクロペンタジエニルクロライドを脱プロトン化し、メチル化することにより生成物を得ようとしたが、はんのうはうまく進行せず、複雑な混合物が得られた。そこで、テトラメチルシクロペンテノンをトリフルオロメタンスルホニルクロライド及びLDAを用いてクロル化し、さらにメチル化、脱水反応を行うことにより、特定の位置が重水素化されたテトラメチルシクロペンタジエニルクロライドの合成に成功した。このような化合物を利用することにより、ペンタメチルシクロペンタジエニルカチオンの反芳香族性を今後実験的に証明する事ができるものと考えている。
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