1997 Fiscal Year Annual Research Report
タキプレシン誘導体をターゲッティングのキャリヤ-とした抗エイズ薬の開発研究
Project/Area Number |
09771904
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉村 啓和 京都大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (80217182)
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Keywords | タキプレシン / ターゲッティング / 抗HIV活性 / T22 / ケモカイン / CXCR4 / AZT / conjugate |
Research Abstract |
以前、抗菌ペプチドtachyplesinから誘導して、AZTに匹敵する抗HIV活性を有する18残基のペプチド性化合物[Tyr^<5,12>,Lys^7]-polyphemusin II(T22)を見い出した。このT22は、HIVのT細胞への吸着直後、細胞融合の段階で作用し、CD4発現T細胞およびHIV感染T細胞に特異的に結合する。以下、本研究により得られた研究成果を項目別に述べる。 a)ケモカインレセプターCXCR4(HIVの第二の受容体)にT22は特異的に結合し、T細胞指向性HIVの感染を阻止することを見い出した。 b)T22よりも高活性低毒性でかつ、小分子化された化合物の合成に成功した。 c)T22と逆転写酵素阻害剤あるいはプロテアーゼ阻害剤のin vitroでの併用試験において、抗HIV活性の相乗効果を示すことから、T22誘導体に逆転写酵素阻害剤AZTを化学的に付加させた化合物AZT-T22-conjugateの合成を行った。 1)著者の開発した、保護ペプチドの脱保護&ジスルフィド形成法を用い、数種のAZT-T22-conjugateの合成に成功した。 2)1)で合成した化合物のうちいくつかは、AZTやT22単独と比べてかなりの抗HIV活性の上昇が見られた。 3)T22のアミノ末端とAZTの5'位のアルコールをコハク酸をリンカーとしてつないだconjugateは、生理的pHで経時的にAZTをリリース(半減期=約12 hr)することを確認した。 4)また、T22とプロテアーゼ阻害剤とのconjugateおよび、逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤の両方をT22に付加したconjugateも同様に合成している。 次に、これらのconjugateの利点を挙げる。1.逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤の宿主細胞やHIV感染細胞へのターゲッティングのキャリヤ-としてT22が機能する。2.逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤の水溶性の低さを水溶性ペプチドT22を付加することにより改善できる。3.T22と逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤を併用したときと同じような相乗効果が期待できる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Tamamura, et.al.: "Unambiguous synthesis of stromal cell-derived factor-1 by regioselective disulfide bond formation using a DMSO-aqueous HCl system" Chem.Commun.1998・1. 151-152 (1998)
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[Publications] H.Tamamura, et.al.: "Effective lowly cytotoxic analogs of an HIV-cell fusion inhibitor, T22([Tyr^<5,12>,Lys^7]-polyphemusin II" Bioorg.Med.Chem.6・2. 231-238 (1998)
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[Publications] H.Tamamura, et.al.: "Convenient one-pot synthesis of cystine-containing peptides using the trimethylsilyl-chloride-dimethyl sulfoxide/trifluoroacetic acid system and its application to the synthesis of bifunctional anti-HIV compounds" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1998・3. 495-500 (1998)
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[Publications] H.Tamamura, et.al.: "Downsizing of an HIV-cell fusion inhibitor,T22([Tyr^<5,12>,Lys^7]-polyphemusinII),with the maintenance of anti-HIV activity and solution structure" Bioorg,Med.Chem.(印刷中). (1998)
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[Publications] T.Murakami, et.al.: "A small molecule CXCR4 inhibitor that blocks T cell line-tropic HIV-1 infection" J.Exp.Med.186・8. 1389-1393 (1997)