1997 Fiscal Year Annual Research Report
天然物由来の新しいがん克服薬の開発を志向するスクリーニング法の構築
Project/Area Number |
09771906
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 俊二 大阪大学, 薬学部, 助手 (60252699)
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Keywords | がん多剤耐性 / P-glycoprotein / MRP / Xestospongia属海綿 / araguspongine / 大環状二量体アルカロイド |
Research Abstract |
海洋生物由来の医薬リ-ド化合物探索研究の一環として、多剤耐性がん細胞に対する耐性克服物質を探索するアッセイ法を構築した。多剤耐性がん細胞は、P-glycoprotein発現ヒト咽頭上皮がん細胞(KB-C2)およびMRP発現ヒト咽頭上皮がん細胞(KB-CV60)を用いた。96穴マイクロプレートに耐性がん細胞を分注し、24時間培養後、耐性許容濃度の抗がん剤と被験薬物を作用させ、48時間後にMTT法によって細胞の生育阻害率を判定し、さらに、両耐性株の親株であるKB-3-1株に対して被験薬物のみを作用させた細胞毒性試験の結果と比較して被験薬物の耐性克服作用の有無を判定した。このような方法を用いて海洋生物由来の天然物の中から耐性克服物質をスクリーニングした。その結果、沖縄産Xestospongia属海綿から単離構造決定した1-oxaquinolizidine構造を有する大環状二量体アルカロイドaraguspongine類に、P-glycoprotein発現多剤耐性がん細胞に対する耐性克服作用が認められた。上記海綿の主成分であるaraguspongineDについて作用を検討したところ、3μg/mlの濃度でKB-C2のコルヒチンに対する耐性を完全に克服することができ、10μg/mlの濃度でも全く細胞毒性を示さなかった。さらに、araguspongineDの立体異性体であるaraguspongineEおよびaraguspongineBも3μg/mlの濃度でKB-C2のコルヒチンに対する耐性を完全に克服することができ、1-oxaquinolizidine環の9および9´位に水酸基を有するaraguspongineCも同等の作用を示したが、2-oxoquinolizidine環を有する二量体アルカロイドpetrosinは他のaraguspongine類の1/2程度の活性しか示さなかった。
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