1998 Fiscal Year Annual Research Report
天然物由来の新しいがん克服薬の開発を志向するスクリーニング法の構築
Project/Area Number |
09771906
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 俊二 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (60252699)
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Keywords | がん多剤耐性克服物質 / agosterol A / P-glycoprotein / MRP / Spongia属海綿 |
Research Abstract |
海洋生物由来の医薬リード化合物探索研究の一環として、P-glycoprotein発現ヒト咽頭上皮がん細胞(KB-C2)およびMRP発現ヒト咽頭上皮がん細胞(KB-CV60)を用いた多剤耐性がん細胞に対する耐性克服物質を探索するアッセイ法を構築し、海洋生物由来の天然物の中から耐性克服物質をスクリーニングした。その結果、三重産Spongia属海綿のアセトン抽出エキスに活性が見られたことから、この抽出エキスを活性試験の結果を指標に分画精製して主活性成分としてagosterol Aと命名した新規ステロールを単離し、その全化学構造決定した。Agosterol Aは、3、4、6位にアセトキシル基、11.22位に水酸基を有する高度に酸化されたステロールで、3μg/mlの濃度でKB-C2のコルヒチンに対する耐性を完全に克服することができ、10μg/mlの濃度でも全く細胞毒性を示さなかった。さらに、現在までにその耐性克服物質が数種しか知られていないKB-CV60株のピンクリスチンに対する耐性も3μg/mlの濃度で完全に克服することができた。また、同種の海綿の含有成分についてさらに精査し、agosterol B,C,D2,A4,A5,C6と命名した6種の新規agosterol A類縁体を単離構造決定するとともに、数種のagosterolAの誘導体を合成し、それらの構造活性相関について検討した。その結果、agosterol Aに存在する3個のアセチル基と2個の水酸基についてもはいずれも活性発現に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)