1998 Fiscal Year Annual Research Report
3員環含有天然物の効率的合成法の確立と作用機序の解明
Project/Area Number |
09771908
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20227060)
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Keywords | 脂肪酸代謝物 / ハリコラクトン / リポキシゲナーゼ阻害剤 / 3員環化合物 / ジエン鉄カルボニル錯体 / 不斉合成 / シクロプロパン化反応 / 9員環ラクトン |
Research Abstract |
3員環を含有する各種脂肪酸代謝物は主鎖の炭素数および3員環の位置と数が若干異なるだけで、リポキシゲナーゼ阻害、ファルネシルプロテイン転移酵素阻害、抗真菌作用など幅広い生理活性を示すことから注目されている。 申請者は、3員環が生理活性発現に関与する作用機序の解明を目指し、これら一連の不飽和脂肪酸代謝物およびその誘導体の合成を検討した。前年度の研究でプロキラルなジアルデヒドジエン鉄錯体より目的とするハリコラクトンやコンスタノラクトンに共通の部分構造である5つの不斉炭素を有するモノシクロプロパン体の立体選択的な不斉合成に成功している。そこで今年度は残された課題を主に検討した。まず、1)C-8位水酸基の立体反転による望みの(S)-アルコール体への変換は、光延法を用いることにより収率良く変換可能であることを見い出した。次に、2)C-7位への6炭素鎮導入を検討した。まず7位の1級水酸基を選択的にトシル化したのち塩基処理によりエポキシドを合成し、シアノ基の導入、還元によりアルデヒドへ変換後、Wittig反応を試みたが脱離反応が主に進行し不飽和アルデヒド体が主成績体として得られ、目的物とするC5-C6Z型オレフィン体は少量しか得られなかった。しかし上記エポキシドに対しアセチレン誘導体を付加させたのち水素化することにより目的とするZ型オレフィン体の合成に成功した。さらに、3)9員環ラクトンの形成は種々検討した結果山口法が最も良い結果を与え、15-O-TBS-12-O-SEMハリコラクトンの不斉合成を行うことができた。現在2つのシリル基の脱保護による全合成の完成を検討している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 竹本佳司: "ジエン鉄カルボニル錯体を利用した立体制御反応" 有機合成化学協会誌. 56・12. 1069-1079 (1998)
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[Publications] Y.Takemoto: "Asymmetric Synthesis of (Diene)Fe(Co)_3 Complexes by a Catalytic Enantioselective Alkylation Using Dialkiylzincs." Tetrahedron.54. 15567-15580 (1998)
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[Publications] Y.Takemoto: "Utility of a Diene-Tricarbonyliron Complex as Mobile Chiral Auxiliaries: The Interative Use for Constructing Contiguous Chiral Centers" Chem.Commun.17. 1911-1912 (1998)