1997 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いたアルキン類への連続的炭素ユニット導入法の開発
Project/Area Number |
09771916
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
池田 慎一 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (90254309)
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Keywords | ニッケル / アルミニウム / エノン / アルキン / 環化付加 / 位置選択的 |
Research Abstract |
報告者は,ニッケル錯体を触媒に用いたアルキン類への連続的炭素ユニット導入反応の開発を目的として種々の検討を行った.その結果トリメチルアルミニウムを共触媒として用いてアルキンと共役エノンとの反応を行った場合,このエノンと2分子のアルキンとが速やかに炭素-炭素結合を形成し環化付加生成物が得られることを見出した.このトリメチルアルミニウムはルイス酸として機能しているものと考えられるため,そのルイス酸性を高めるためにフェノールを添加したところ,環化付加生成物の収率が飛躍的に向上した.このニッケル・アルミニウム触媒系による環化付加はエノンに対してアルキンを2当量使用するだけで効率よく進行した.これは従来より知られているアルケンとアルキンの環化付加反応で見られたような,どちらか一方の基質を過剰量必要とする例とは対比されるべき結果である.さらに注目すべき点に,末端アルキン類を用いた場合に高い位置選択性でこの環化付加が進行していることが上げられる.この事実は,この環化付加で得られた生成物(ジエン体)を塩基存在下で引き続き処理することによりベンゼン誘導体に変換しその化合物の各種スペクトルを解析することにより確認できた.環化付加の位置選択性は用いるエノンとアルキンの組み合わせ方より種々異なるが,1-ヘキシンのような直鎖のアルキンの反応とトリメチルシリルアセチレンとのそれとは全く異なる置換パターンを有する生成物が得られた.一方本反応系において,アルキン二分子が一部連結したジインを基質に用いてエノンとの反応を行ったが,目的とする環化付加体はほとんど得られなかった.今後この反応に主眼をおき,本反応系のような新しい二種金属による触媒系の開発について検討を進めていく.
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