1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771934
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
小畠 りか 社団法人北里研究所, 生物機能研究所, 研究員 (20260078)
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Keywords | acetylcholinesterase / inhibitor / structure activity relationship / 3D structure / natural product / chemical modification |
Research Abstract |
1.出発原料となるピリピロペン(ACATの選択的阻害剤)およびアリスガシン(アセチルコリンエステラーゼの選択的阻害剤)をそれぞれ培養・精製によって得た。培養条件検討の結果、生合成中間体と考えられる化合物の添加で両化合物とも生産性の向上が認められた。副生成物の単離を含めて精製条件の検討を行い、目的化合物を得た。 2.ピリピロペンを出発原料として、アリスガシンのアナログ体に変換する反応条件を検討した。いくつかのアリスガシン-アナログを合成したところ、いくつかの化合物は弱いながらもアセチルコリンエステラーゼに対して阻害活性を示し、しかもいずれの化合物もACAT阻害活性は認められなかった。これらの結果からアリスガシンの芳香族メトキシ基が活性発現に重要な役割をはたしていると考えられた。 3.アリスガシンを出発原料として誘導体合成を行った。α,β-不飽和ケトン部位、水酸基、およびメトキシ基について化学修飾したところ、二重結合のエポキシ化やメトキシ基の脱メチル化等で阻害活性の向上が認められた。一方、水酸基を修飾すると活性が低下したことから、水酸基が受容体との水素結合に関わっている可能性が高いと考えられた。有機電解酸化も行ったが、現時点ではまだ反応生成物の選択性が確立できていない。 プロテインデータバンクに登録してあるアセチルコリンエステラーゼのX線結晶解析の3次元座標データを元にして受容体部位をコンピューターで調べた。受容体部位は中程が狭く、また活性中心は約20Åの深さにあると認められた。一方、阻害剤であるアリスガシンの3次元構造はほぼフラットであり、最大長の長さが約20Åであることから、アリスガシンはアセチルコリンエステラーゼの受容体部位に突き刺さる様にして結合しているのではないかと推察している。
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