1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子鋳型法を用いたD-アミノ酸の高感度かつ選択的分析法の開発
Project/Area Number |
09771948
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱瀬 健司 九州大学, 薬学部, 助手 (10284522)
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Keywords | モレキュラーインプリンティング / D-アミノ酸 / 分子認識 |
Research Abstract |
D-アミノ酸を特異的に認識するモレキュラーインプリントポリマーとして、まずフェニルアラニンアニリドをプリント分子とするポリマーを作製した。ポリマーはクロロホルム中で、官能性モノマーをメタクリル酸、クロスリンカーをエチレングリコールジメタクリレートとして60度24時間の熱重合を行った。このポリマーを乳鉢ですりつぶして粒子状とし、HPLCカラムに充填して光学認識能を調べた。移動相は4%酢酸を含むアセトニトリルとし、検出は260nmで行った。その結果フェニルアラニンアニリドの保持はD体とL体で大きく異なり、プリント分子として使用した光学異性体のみが強く保持された。また、バッチ法を使用して種々の試料濃度における本ポリマーの光学認識能を調べた。この検討では希薄な試料を定量する必要があったため、フェニルアラニンアニリドはダンシルクロライドによるプレカラム蛍光誘導体化を行い、励起330nm、蛍光530nmの蛍光検出を行った。分離には逆相HPLCを使用した。その結果、ポリマー10mgに対し、1mM程度のフェニルアラニンアニリドをアセトニトリル中で共存させた場合には、光学異性体間で吸着率に差が見られず双方とも30%程度の吸着を示した。しかし、10μMではプリント分子は4%程度しか遊離型として存在しないのに対し、光学異性体は3倍程度遊離体として存在した。また、インプリント分子を使用しないコントロールポリマーでは10倍以上が遊離体として存在した。この結果は本ポリマーが優れた分子認識能を有していることを示している。現在他のアミノ酸の認識を検討中である。
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