1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロコンピュータを利用した生体高分子の電子状態の計算方法の開発
Project/Area Number |
09771952
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
常盤 広明 立教大学, 理学部, 講師 (10221433)
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Keywords | 非経験的分子軌道法 / ニューロコンピュータ / PDEIII阻害活性 / ACAT阻害活性 / 定量的構造活性相関 / 二電子反発積分 |
Research Abstract |
1.非経験的分子軌道法およびニュロコンピュータを用いた新規高活性薬物の計算 PDEIII阻害活性をもつ心臓作用薬として開発されたビピリジン系化合物の定量的構造活性相関を非経験的分子軌道計算およびニューロコンピュータを用いて実行し、新規高活性化合物の設計を行った。本研究は、従来までの置換基や分子に対する経験的なパラメータを線形的に取り扱う伝統的な構造活性相関法とは異なり、非経験的分子軌道計算から得られた理論的な物理量のみを使用するものである。具体的には、それらの物理量を構造活性相関の入力パラメータとして用い、ニューロコンピュータによってPDEIII阻害活性などの生理活性データとの相関を非線形的に回析するものである。さらに、本法をACAT阻害活性をもつ高脂血症治療薬にも適用し、非経験的分子軌道計算に基づく高活性薬物の定量的構造活性相関の有効性を立証した。この結果は、1997年10月の構造活性相関討論会および日本化学会春期年会第73会で発表し、その後、専門誌に投稿予定である。 2.二電子反発積分および各種分子内ポテンシャルのニューロコンピュータによる最適化 ニューロコンピュータによる関数フィッティングを、Gauss型関数(GTF)の二電子反発積分に拡張することを試みた。すなわち、4つのGTFから決定される積分値(rs/tu)を各々のGTFの軌道指数および軌道中心に関する非線形関数として取り扱い、特異点を含めた関数フィットをニューロコンピュータを用いて行った。その結果、大次元系に対する非経験的分子軌道計算の際の二電子積分の計算を、ニューロコンピュータの最適化(学習課程)におきかえることに成功した。さらに、タンパク質などの動力学計算を行う際の重要な分子内ポテンシャルのひとつであるアミド回転ポテンシャルは、解析的関数で表現することが困難であったが、それらもまた、ニューロコンピュータで最適化できることが分かった。これらの結果の一部については1998年4月の日本薬学会で発表する。
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