1997 Fiscal Year Annual Research Report
非ステロイド系抗炎症薬の肝毒性の評価とその発現機序に関する研究
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09771964
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桝渕 泰宏 千葉大学, 薬学部, 講師 (10209455)
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Keywords | 非ステロイド系抗炎症薬 / ジクロフェナック / 細胞障害 / 初代培養肝細胞 / シトクロムP450 / CYP1A2 / 活性代謝物 / ジヒドララジン |
Research Abstract |
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)による肝障害発現機序の解明を目的として、本年度はまず、肝障害評価のモデル系として、in vivoを反映した薬物代謝酵素系の備わった肝細胞初代培養法と肝細胞障害性の定量的評価法を確立した。また、薬物代謝酵素の不活性化を指標として、活性代謝物標的タンパクの評価法を確立した。 1)肝障害の定量的評価のモデル系の確立:ラットから遊離肝細胞を調製し、初代培養に付した。肝細胞接着後、検討した48時間まで、細胞数の変動は見られなかった。また、インスリン等のホルモン濃度を調節することによって、培養中の薬物代謝活性の低下を30%程度に留めることができた。薬物無添加の場合、培養48時間まで、逸脱酵素の培養液中への顕著な漏出は見られなかった。NSAIDの代表薬物としてジクロフェナックの肝細胞障害性の濃度依存性を調べたところ、培養肝細胞においては、調製直後の遊離肝細胞を用いた場合と比較して、3分の1以下の濃度において障害性が検出された。培養系では遊離肝細胞に比べて、薬物暴露が長時間可能であったため、毒性代謝物の生成等に起因する細胞障害性の検出感度が向上した推定される。さらに18種類のNSAIDの細胞障害性を調べた結果、ジフェニルアミンを構造中に含むNSAIDが毒性を示すことが判明した。 2)活性代謝物の標的タンパクとしての肝薬物代謝酵素:ラット肝ミクロゾームを用いて薬物代謝酵素の不活性化を指標として、標的タンパクの評価法を検討した。即ち、モデル薬物として、CYP1A2により代謝的活性化を受け、これを標的タンパクとすることが知られているジヒドララジンを用いて検討した結果、同酵素の不活性化が認められ、これが標的タンパク評価のための良い指標となることが示された。また、同様の検討を上述のジクロフェナックを用いて調べた結果、CYP2C酵素が標的となることが判明した。
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