1998 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管上皮細胞における薬物輸送担体の細胞膜局在性と細胞膜ソーティング機構の解析
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09771975
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桂 敏也 京都大学, 医学研究科, 助手 (10283615)
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Keywords | トランスポータ / 細胞膜ターゲティング / ソーティング / PEPT1 / 腎上皮細胞 / LLC-PK_1 |
Research Abstract |
ペプチドトランスポータ(PEPT1)は小腸や腎臓に発現し、小分子ペプチドやペプチド類似薬物の吸収に重要な役割を果たしている。しかしその細胞膜局在性や細胞膜発現機構については未だ不明な点が多い。本研究では腎尿細管上皮細胞におけるPEPT1の細胞膜局在性とその細胞膜発現機構を解明することを目的として、抗PEPT1抗体を用いた免疫化学的解析を計画した。昨年度は、ラット腎臓におけるPEPT1の細胞膜局在性と尿細管分布について明らかにした。さらにPEPT1の細胞膜発現機構を精査するため、培養腎上皮細胞LLC-PK1にPEPT1を発現させたPEPT1安定発現細胞、LLC-rPEPT1を用いた細胞生物学的解析を行った。この細胞において、PEPT1が頂側膜側優位ながら両細胞膜に発現していることは既に確認済みであり、細胞膜発現機構の解析に有用なモデルであると考えられた。LLC-rPEPT1細胞を[^<35>S]Met-Cysを用いて短時間標識し、パルス-チェイス実験を行うことによって生合成後のPEPT1の細胞膜への輸送を解析したところ、新たに生合成されたPEPTlは方向非選択的に頂側膜及び側底膜に同程度輸送されることが明らかになった。さらに各々の細胞膜に発現後のPEPT1の挙動について解析したところ、側底膜に発現したPEPT1の消失が頂側膜に発現したものに比べてより早く、両細胞膜に移行後のPEPT1の挙動に違いが認められることが明らかになった。さらにこの違いが、PEPT1の分解速度に起因することが示唆された。 現在、PEPT1の活性制御因子であると考えられているPEPT1-RFを共発現させた細胞を構築中であり、この制御因子がPEPT1の細胞膜発現に及ぼす影響について検討する予定である。
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