1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規なインスリン受容体関連受容体(IRR)の生理機能解明
Project/Area Number |
09771977
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 恵一 京都大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50252466)
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Keywords | インスリン受容体 / インスリン受容体関連受容体 / オルファン受容体 / バイオセンサー / 腎臓 |
Research Abstract |
インスリン受容体ファミリーに属する新規のチロシンキナーゼ型受容体であるインスリン受容体関連受容体(insulin receptor-related receptor,IRR)は、その生理的リガンドが未だ明らかではないオルファン受容体である。本研究はこのIRRのになう生理機能解明のための直接的なアプローチとして、そのリガンド同定をこころみるものである。方法としては、まず可溶化型IRRを作製し、そのリガンド結合能を利用することでIRRリガンドの存在する画分に関する情報を得、全長IRRの高発現細胞において、その画分の活性をチロシンリン酸化能を指標にスクリーニングするというものである。 1)可溶化型IRRの作製 リガンド結合能を保持していると考えられるIRRの細胞外ドメインのC末端に検出用エピトープタグと精製用ヒスチジンタグを導入したsIRR-CT(soluble IRR-composite tags)cDNAを作製し、これをバキュロウイルス発現システムによる高発現系に用いた。 2)全長IRRの高発現系の確立 ラットIRR全長cDNAをバキュロウイルス発現システムによる高発現系に用い、ラットIRR高発現Sf-9細胞を得た。また、IRRの生理的リガンドはいまだ不明であるため、IRR高発現Sf-9細胞をバナジン酸処理することでIRRのβサブユニットが特異的にリン酸化されることを抗リン酸化チロシン抗体を用いることで確認した。 3)IRRリガンドスクリーニングシステムの確立 上記のsIRR-CTおよびIRR高発現Sf-9細胞を用い、IRRリガンドをスクリーニングするシステムを確立した。即ち、リガンドの受容体結合能を指標に、バイオセンサーBIAcoreを用いたIRRリガンドソースのスクリーニングを行い、得られた情報をもとにしてIRR高発現Sf-9細胞に対して、結合活性を持つと考えられるサンプルを作用させ、そのチロシンリン酸化能を調べた。以上の系を用いてスクリーニングを現在行っており、今後IRRリガンドを明らかにすることで、新規と思われる生理活性物質や生物活性が明らかになると思われる。
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