1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規なインスリン受容体関連受容体(IRR)の生理機能解明
Project/Area Number |
09771977
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 惠一 京都大学, 薬学研究科, 助手 (50252466)
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Keywords | インスリン受容体 / インスリン受容体関連受容体 / オルファン受容体 / アゴニスト抗体 / 胃 / ECL細胞 |
Research Abstract |
インスリン受容体ファミリーに属する新規なチロシンキナーゼ型受容体であるインスリン受容体関連受容体(insu1in receptor-related receptor,IRR)は、生理的リガンドが不明なオルファンレセブターである。そこで、そのリガンド様作用を期待して、IRRに対するアゴニスト抗体作製を試みた。 1) バキュロウイルス発現系をもちいて大量調製したIRR細胞外領域を抗原として、ウサギに免疫し抗IRRポリクローナル抗体(IgG画分)を得た。このIgGは、ウエスタンブロットでIRRの細胞外領域を特異的に認識し(インスリンレセプターとの交差反応をしない)、IRR高発現細胞に対しては、その受容体のチロシン自己リン酸化レベルをコントロールの2倍近くまで誘導した。以上の結果は、作製したIgGがIRRリガンド様に作用する可能性を示唆していた。 2) 我々はIRR mRNAが腎臓・胃・脳といった限られた臓器の特殊な細胞にのみ局在していることを既に見出しており、特に胃ではECL細胞というヒスタミン細胞に発現し、ヒスタミンを介した胃酸分泌の調節に何らかの影響を与える可能性が考えられた。そこで、上記のIgGを、ラット胃よりエルトリエーションによって単離、培養したECL細胞に対して1時間作用させ、そのヒスタミンの分泌量をHPLCによって定量化した。その結果、IgGはヒスタミン分泌を抑制していた。また、ヒスタミン分泌作用を持つガストリン共存下、その作用も抑制するようであった。果たして、これがIRRを介した直接的な作用と考えられるかどうか現在検討中である。
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