1997 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ新生児の心臓の分裂・増殖・分化過程の情報伝達系
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09771992
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
佐藤 久美 北海道薬科大学, 薬学部, 助手 (00235334)
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Keywords | HMG-CoA還元酵素阻害薬 / ブタ心臓 / 細胞内情報伝達系 |
Research Abstract |
HMG(3-hydroxy-3-methylglutaryl)-CoA還元酵素阻害薬により、心筋細胞のメバロン酸生合成が抑制されると種々生体成分の炭素側鎖(イソプレニル基、ファルネシル基等)が不足し、細胞成長因子受容体と共役する細胞内情報伝達系蛋白質の細胞膜への結合(アンカリング)が損なわれる可能性がある。今回、ブタに脂溶性のシンバスタチン(2mg/kg/day)および、水溶性のプラバスタチン(4mg/kg/day)を生後1日目から6日目まで投与し、心臓の成長におよぼす影響を右室自由壁、心室中隔、左室自由壁において検討した。対照群の生後6日目の体重は、生後1日目の体重の1.5倍に増加し、右室自由壁、心室中隔、左室自由壁の重量は、それぞれ、1.2倍、1.4倍、2.4倍に増加した。生後6日目の体重は、対照群と薬物投与群との間に有意差は認められなかった。成長の著しい左室と心室中隔において、シンバスタチンは、心室重量/体重、RNAおよび蛋白量を減少させたが、プラバスタチンは、いずれの測定値に対しても影響をおよぼさなかった。生後1日目と比較して、重量の増加が少ない右室の各測定値に対する薬物投与による影響は認められなかった。この結果から、脂溶性のシンバスタチンが、心筋細胞内に入り、細胞内情報伝達系蛋白質が細胞膜への結合するために必要なイソプレニル基あるいはファルネシル基の生合成を阻害することにより、心筋の生理的な成長を抑制させたことが示唆される。
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