1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳内チトクロームP450の神経疾患に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
09771995
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大井 浩明 昭和大学, 薬学部, 講師 (60194065)
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Keywords | チトクロームP450 / RT-PCR / 脳 |
Research Abstract |
近年報告されているcDNAクローニングの結果を見ると、脳と肝では異なるチトクロームP450分子種が発現している場合が多いことから、肝分子種での検討よりも先に脳内で発現しているチトクロームP450分子種のcDNAクローニングを試みた。肝の分子種での知見よりCYP2Cサブファミリーに属する分子種に高いエストロゲン水酸化活性が期待されたので、すでに報告されているラットのCYP2Cサブファミリーに属する分子種間で比較的保存されているアミノ酸配列をもとに縮重プライマーを作成し、ラット肝全RNAを用いてRT-PCRを行ない、プローブとなるCYP2C6、2C11、2C13、2C23の部分cDNAを得た。これらをプローブとして市販のラット脳cDNAライブラリーのスクリーニングを試みたが、陽性クローンが得られなかったので、新たにラット脳mRNAを調製してcDNAライブラリーを作成している。また、上で述べた縮重プライマーを用いて雄性ラット脳mRNAのRT-PCRを行なったところ、肝分子種と同一と思われる分子種に加えて、CYP2C12とアミノ酸配列が数残基異なるクローンも得られた。CYP2C12は肝においては雌特異的な分子種であり、雄性ラット脳内で発現しているとしたならば、肝とは異なる発現調節を受けているか、あるいは似てはいるものの異なる分子種が存在すると考えられる。そのような分子種が脳内で発現しているということは、何か重要な生理的役割を担っている可能性も考えられ、その点でも興味ある知見であると思われる。
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