1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋疾患遺伝子由来トリプレットリピートのクロマチン構造の解析
Project/Area Number |
09772002
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
清水 光弘 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (80231364)
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Keywords | 神経筋疾患 / トリプレットリピート / クロマチン / ヌクレオソーム / DNA構造 / ゲノム / 遺伝子発現制御 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
最近,ハンチントン病などの約10種の神経筋疾患は,(CAG)_<n'>(CCG)_<n'>(CTG)_<n'>(GAA)_nなどのトリプレットリピートの伸長によって,引き起こされることがわかった.現在,これらの疾患の発症のメカニズムを解明するために,リピートの伸長機構を明らかにすることが,緊急の課題となっている.本研究は,真核生物ゲノムにおけるトリプレットリピートのクロマチン構造の特徴とその動態を明らかにして,染色体上でのリピートの伸長機構を解明することを目標としている.今年度は,筋緊張性ジストロフィーと脆弱X症候群で見られる(CTG)_nと(CCG)_n配列を出芽酵母のミニ染色体にクローニングし,そのクロマチン構造を解析するための実験系を確立した. 最近,我々は,ポジショニングしたヌクレオソームを有する出芽酵母ミニ染色体をベクターとして,in vivoにおいて特殊なDNA構造がヌクレオソーム形成に及ぼす効果を評価できる実験系を開発した(M.Shimizu et al.,投稿準備中).この系を用いて,ポジショニングしたヌクレオソームの中央部位,またはヌクレオソームフリー領域に(CTG)_<12'>(CCG)_<12>をクローニングして,間接末端標識法,プライマー伸長マッピング法によって,ミニ染色体のクロマチン構造を解析した.その結果,ヌクレオソームフリー領域に(CTG)_<12>を挿入すると,新たにヌクレオソームがその領域に形成されるが,(CGG)_<12>をヌクレオソームの中央に挿入すると,そのポジショニングは不安定化されることがわかった.この結果は,トリプレットリピート配列近傍のクロマチン構造は,その配列の種類に依存して編成されることを意味している.この機構を明らかにするために,現在,(CTG)_nと(CCG)_n(n=24〜80)のクローニングとそのクロマチン構造の解析を進めている.
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