1997 Fiscal Year Annual Research Report
標的mRNAを特異的に切断するアンチセンス分子の合成と機能
Project/Area Number |
09772025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小比賀 聡 大阪大学, 薬学部, 助手 (80243252)
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Keywords | アンチセンス / 核酸類縁体 / RNA切断 / 合成 / オリゴヌクレオチド / ヌクレオシド |
Research Abstract |
これまでに我々は数種類の新しい核酸類縁体を合成してきた。それらはリン酸ジエステル結合のかわりにカルバメート結合でヌクレオシド間を結合したダイマーアナログである。本年度は、これらに加えてヌクレオシドのコンホメーションを固定化した新規なヌクレオシド類縁体の合成を行いこれに成功した。このものの構造に関しては、NMRの詳細な解析、分子軌道計算の結果、さらにX線結晶構造解析より、C3´-endo構造をとっていることを確認している。この結果から、これらコンホメーション固定型ヌクレオシド類縁体は標的mRNAに対して高い親和性を有することが大いに期待できた。実際に、これらヌクレオシド類縁体を導入したオリゴヌクレオチドを種々作製し、その標的mRNAに対する親和性を検討したところ、これらが予想通り非常に優れた二重鎖形成能を有していることが明らかとなった。このもののRNAに対する親和性はこれまでに類を見ない程優れており、さらにDNAとRNAとを認識する能力を兼ね備えているという興味深い知見を得ている。また、その二重鎖形成時の構造に関してはCDスペクトルを測定し解析を行っている。 一方、mRNAを切断するためのビスイミダゾール型化合物等の合成についても現在検討を進めており、今後、カルバメート結合を有するヌクレオシドダイマーアナログおよび今回新しく合成を行ったコンホメーション固定型ヌクレオシド類縁体へと導入していく予定である。
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