1997 Fiscal Year Annual Research Report
複合糖質の合成を目指した蛋白工学による加水分解酵素の反応特異性の改変
Project/Area Number |
09772026
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊東 祐二 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (60223195)
|
Keywords | リゾチーム / 蛋白工学 / 複合糖質 / 固定化酵素 / 転移反応 |
Research Abstract |
本研究は,ニワトリ卵白リゾチーム(溶菌酵素,糖加水分解酵素)を蛋白工学的に改変し触媒機構を変換したリゾチーム変異体Asn46Glu/Asp52Serを用いて,その転移活性による複合糖質の合成法の確立を目指している。Asn46Glu/Asp52Serの反応機構は,野生型リゾチームのオキソカルボニウムイオン遷移中間体型とは異なり,共有結合中間体を経由した反応機構を有する。そこでこの変異体を基質と反応させ共有結合中間体を形成させた後,基質の除去を行い,次に受容体(糖,アミノ酸など)と反応させ,転移反応により目的の複合糖質を得ることを計画した。この変異型の中間体がある条件下では非常に安定に存在するため,これらの反応を固定化担体上で段階的に行えることが本研究の特徴である。まず,担体の検討を行い,Tresyl toyopearl上に10mg/mlでリゾチームを固定化できることを確認した後,基質(GlcNAc)_6との反応により共有結合中間体の形成を調べた。固定化されたリゾチームは90%以上の活性を保持し,ほぼ100%の収率で共有結合中間体が形成された。この固定化酵素担体を用いて,p-nitrophenol-(GlcNAc)_2ならびにp-nitrophenolとの転移反応を検討した結果,前者では,転移反応物が確認されたが後者では確認されなかった。現在,有機溶媒の添加による反応効率の変化並びに受容体側の構造特性について検討している。また,X線結晶解析によるAsn46Glu/Asp52Ser構造解析を進めており,その類似変異体(D52E)の中間体については本年度報告した。
|