1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓癌を発症させる肝線維症や肝硬変の予防および治療に関する薬物動態学的研究
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09772033
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部・代謝分析学教室, 助手 (20278443)
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Keywords | フリーラジカル / 活性酸素 / 肝炎 / 脂質過酸化 / 抗酸化物質 / 化学発光法 / 皮ふ組織 |
Research Abstract |
今年度は、本研究の実施期間(二年間)の二年目として、以下の項目について研究を行った。 急性肝炎から慢性肝炎や肝硬変を経て肝臓癌に至る一連の病態について、近年、炎症発生のメカニズムとして、遊離電子による生体内反応が注目されており、生体内のラジカル反応から臨床の慢性疾患を解明しようとする研究が活発に行われている。したがって、肝傷害、肝炎の発症や進行を抑制する薬物を、フリーラジカルや活性酸素種を消去する観点から探索することを目的として一年目の研究を行った。抗酸化性を有する低分子化合物を中心として継続して検討したところ、一年目に報告した脳松果体ホルモンであるメラトニン以外に、クマリン誘導体であるエスクレチンや、ビタミンE誘導体であり抗がん作用も報告されているHTHQに各活性酸素種に対する高い消去活性を見出すことができた。特にHTHQは脂質ラジカルに対する消去活性が最も高く、肝ミクロゾーム中において二価鉄とアスコルビン酸により誘導される脂質過酸化反応を有意に抑制することが示された。HTHQはビタミンEと比較すると水溶性が高く分子量も小さいので、肝移行性もより高いことが予想されてはいるが、hepatocytesを用いた細胞系や、in vivo系における薬効については現在検討中であり、継続して調べていく予定である。メラトニンについては昨年度に報告したように、パーオキシナイトライトのスカベンジャーであることが幾つかの研究グループからも報告されてきており、メラトニンも細胞系やin vivo系で薬効を検討していく予定である。また、標的組織としては肝臓以外に皮膚組繊も計画して実験を進行中である。このために今年度は、CCDカメラと化学発光法を用いた活性酸素種のin vivo(皮膚組織)測定法の開発を目指して研究を遂行していたが、ほぼ確立することができた。本法を用いて新たに抗酸化物質を探索する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Nishino, H.Yasui, H.Sakurai: "In vivo L-bund ESR and quantitative pharmacokinetic analysis of Stable spin probes in rats and mice." Free Radical Research. 28. 印刷中 (1999)
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[Publications] T.Hino, S.Kawanishi, H.Yasui, S.Cka, H.Sakurai: "HTHQ (1-0-rexyl-2,3,5-trimethylhydroquinore), anti-lipideroxidative compound : its Chemical and bioahemical characterizations." Biochimica et Biophysica Acta. 1425. 47-60 (1998)
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[Publications] H.Sakurai, H.Watanabe, H.Tamura, H.Yasui: "Insulin-mimatic vanadyl-dithiocarbanate corplexes" Inorgarica Chimica Acta. 283. 175-183 (1998)
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[Publications] Y.Yoshikawa, A.Kawai, H.Yasui, H.Yoshikawa, K.Takada: "Preparation and evaluation of micro-porous athyl cellulose Copsule as oral Sustained-release preparation of theophylline" Biopharmaceutics and Drug Disposition. 19. 333-339 (1998)
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[Publications] S.Fujimoto, K.Fujii, H.Yasui, H.Sakurai: "Leng-term acting and crally actlve vanadyl-methylpicotinole Conplex with hypoglycemic activity in streptozotocin-induced diahetic rates" J.clinical.Biochemistry and Nutrition. 23. 113-129 (1997)
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[Publications] 安井裕之、{永田宏 半田宏}(編): "生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法-BIACOREを中心に-" シュブリンガー・フェアラーク東京株式会社, 268(74〜86) (1998)