1997 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー病態における掻痒機序の解明と治療薬の開発
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09772035
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
奥 尚枝 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (90281518)
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Keywords | 掻痒 / 抗痒み物質 / アッセイ法 / NO / アトピー性皮膚炎 / NCマウス / ホウセンカ |
Research Abstract |
痒みの機序とその治療薬の開発を目的としたアッセイ法の開発を行い、先に、脱顆粒惹起剤(compound48/80,dextran)投与により誘導するマウスの掻動作を指標としたin vivoアッセイ法を確立した。今回は本法を用いて、侵害受容器の選択的阻害剤及び脳内での選択的NO合成阻害剤が本痒みを有意に抑制する事を確認し、痒みの伝達経路に関する知見を得た。さらに炎症部位で増加する神経ペプチドやプロテアーゼ等の痒みへの関与を検討し、痒みの惹起物質に関する知見も得た。これにより、これまでの抗ヒスタミン及び脱顆粒抑制作用を指標とした止痒薬とは異なる新しい作用メカニズムの止痒薬開発の可能性を示した。また、本法により、天然資源より止痒活性物質の探索を行い、ホウセンカの花弁及び果皮、カリンから新たに数種の新規活性物質を得た。さらに活性物質の一部が脱顆粒抑制作用を有することをRBL2H3細胞を用いた実験により確認した。 一方で、脱顆粒惹起剤による痒みが一過性であり、アレルギー病態で観られる慢性的かつ難治的な痒みと異なることも明らかとなった為、アトピー性皮膚炎様皮膚炎を自然発症するといわれているNCマウスに着目し、その平常時の掻動作を検討した。その結果、NCマウスはddY、BALB/c、C3H系等の皮膚炎を発症しないマウスの十数倍もの過剰な掻動作を示し、4週齢から7カ月以上の長期に渡り、慢性的かつ難治性の掻痒感を有することが示唆された。そこで、各条件の検討により、このNCマウスの掻動作を直接指標とする止痒物質探索のアッセイ法を確立した。現在、これを用いて、健常な皮膚とは異なる病態での特異な痒みのメカニズムの解明及び止痒活性物質の探索を続行中である。
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[Publications] Oku Hisae: "1, 4-naphthoquinone derivatives from Impatiens balsamina L." Phytochemistry. (1998)
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[Publications] Ishiguro Kyoko: "Antipruritic dinaphthofuran-7, 12-dione derivatives from the pericarp of Impatiens balsamina L." Journal of natural products. (in press). (1998)