1997 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合リポソームの粘膜細胞との融合特性の解明とその応用
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09772036
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
沼田 奈々子 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (60291811)
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Keywords | 膜融合リポソーム / 消化管粘膜 |
Research Abstract |
1:Side by Sideを用いたin vitro実験を行った結果、膜融合リポソームを各腸管に投与した時の粘膜側の残存率は一定時間後(3時間)において直腸>結腸>空腸の順で有意に低下し、その残存率は通常リポソームやモデル高分子化合物であるFITC-デキストラン水溶液より低い値になることが確認できた。また、in situ loop法を用いて経時的変化を見た実験の結果、結腸において膜融合リポソームの投与量に対する回収率は通常リポソームのそれより各時間(1、2、3時間)において有意に低下したが、空腸では両リポソーム間に差は認められなかった。その理由として空腸の粘液成分の関与が考えられたため、ジチオスレイトールを用いて粘液除去を行った結果、空腸でも結腸と同様な結果が認められた。次に膜融合リポソームの障害性について静脈内投与したEvans blueの腸管内への漏出量を測定することによって評価した結果、膜融合リポソームの腸管に対する障害性はほとんど認められないことが明らかとなった。また、腸管にSialidaseを処理することによって膜融合リポソームの消化管粘膜への吸着性を確認した結果、未処理に比べて回収率が有意に上昇したことから膜融合リポソームの吸着にはシアル酸が関与していると考えられた。以上の結果から膜融合リポソームはシアル酸認識能を有するキャリアーで腸管においても有用である可能性が示唆された。 2:1の実験では負に荷電した膜融合リポソームを用いて実験を行ったが、次にリポソームの電荷を正、中性に変えた膜融合リポソームを用いて荷電の影響について検討した。1と同じin situ loop法を行った結果、通常リポソームは正電荷を帯びることによって回収率が負電荷に比べ低下したが、膜融合リポソームは電荷を変えても回収率に大きな変化が認めらなかったことから融合能に対する荷電による影響は少ないと考えられる。
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