1997 Fiscal Year Annual Research Report
地域住民を取り巻く保健・医療に関する情報が保健行動・受療行動に及ぼす影響
Project/Area Number |
09772045
|
Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
武村 真治 国立公衆衛生院, 公衆衛生行政学部, 研究員 (50280756)
|
Keywords | 予防的保健行動 / 情報探索行動 / 保健行動モデル / マス・コミュニケーション / 健康増進 / パーソナル・コミュニケーション |
Research Abstract |
地域住民を取り巻く健康に関する情報は保健行動を促進する重要な要因である。マスコミから提供される情報量は増加しているが、地域住民が実際にどのように情報を収集しているのか明らかにされていない。本研究では地域住民を取り巻く健康に関する情報の実態を把握し、情報が保健行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 調査対象は川崎市A区に在住する40〜69歳の者1,800人とした。平成9年11月に郵送法により自記式調査票を配布・回収した。調査項目は属性、主観的健康度、健康に関する知識、予防的保健行動の実施の有無(塩分を控える、運動する、など22種類)、健康に関する情報源への接触の有無(単行本、テレビ番組、家族、友人など22種類)、一般的な情報源(新聞、テレビなど)への接触頻度、ソーシャルネットワーク(家族、親族、友人の数)などであった。 対象のうち772人の回答が得られ、回収率は43%であった。健康に関する情報源への接触との関連では、女性、仕事をしていない者、A区での居住期間が長い者、主観的健康度が低い者、一般的な情報源への接触頻度が高い者、親族、友人の数が多い者の方が接触した情報源が多かった。予防的保健行動の実施との関連では、女性、年齢の高い者、仕事をしていない者、居住期間が長い者、一般的な情報源への接触頻度が高い者、親族、友人の数が多い者の方が実施している保健行動の数が多かった。また健康に関する情報源への接触が多い者の方が予防的保健行動を実施している傾向がみられたが、属性などの他の変数を調整すると、情報と行動との関連はあまり強くないことが示された。 本研究は横断的研究であるため情報と行動の因果関係については言及できない。来年度は、同じ対象者に同様の調査を実施し、情報と行動のそれぞれの変化を把握することによって因果関係を解明する必要がある。
|