1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬物間相互作用を定量的に評価・予測するための医療薬学的研究
Project/Area Number |
09772052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 均 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40187224)
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Keywords | 薬物間相互作用 / 医療薬学 / 腸代謝 / 初回通過効果 / シクロスポリン / CYP3A4 / 門脈カニュレーション |
Research Abstract |
(1)新しい理論式の応用:ラットの門脈にカニューレを挿入し、非拘束の状態で門脈血を採血できるようにした。CyAを経口投与(25mg/kg)または静脈内投与(5mg/kg)し、門脈及び眼窩静脈より経時的に採血した。各々の血中濃度推移より求めたAUCを、今回考案した新しい理論式(AUC比を利用する)に代入し、Fh,Faを計算した。その結果、CyAのFg,Fh,Faはそれぞれ94%,19%と計算された。 (2)CyAの体内動態に及ぼす腸代謝の影響:門脈カニューレラットに、CyAを経口投与(5及び25mg/kg)または静注(0.1mg/kg)し、経時的に門脈及び眼窩静脈より採血した。またケトコナゾール(KCZ)をラットに連投し、CyA5mg/kgを経口投与後に採血を行った。血中濃度の測定はモノクローナル抗体(MA)あるいはポリクローナル抗体(PA)によるFPIA法で行った。CyAを5mg/kg経口投与後の門脈と末梢静脈の血中薬物濃度推移はほぼ同じであったが、MAとPAとの間に顕著な差が認められた。一方、MAとPAの差(つまり主要代謝物)はCyA高用量(25mg/kg)投与時及びKCZ連投時には殆ど見られなかった。また、KCZはCyAを静脈内投与時の血中薬物濃度推移には影響を与えなかったが、経口投与時には吸収相の血中薬物濃度を有意に上昇させた。従って、CyAの腸代謝は用量依存性を示すこと、及びCYP3A阻害剤であるKCZで効率的に抑制されることが判った。一方、CyAを静注(0.5mg/kg)した場合、血中濃度は比較的低い(飽和濃度以下)にも関わらずMAとPAの差は認められなかった。以上の事実から、CyAの初回通過効果は肝臓ではなく主として腸によるもので、しかも吸収過程(つまり薬物が腸上皮細胞を透過する過程)においてのみ起こることが示された。
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