1997 Fiscal Year Annual Research Report
カルボプラチンの薬物動態モニタリングによる血清トロンボポエチン活性変動の予測
Project/Area Number |
09772053
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
磯部 威 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70284198)
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Keywords | 肺癌 / カルボプラチン / トロンボポエチン / 血小板減少 / 薬物動態 / 薬動力学 |
Research Abstract |
現在までに,IV期非小細胞肺癌11症例でカルボプラチン投与後に内因性トロンボポエチン(以下TPO)濃度の測定を終了した。 1.TPO濃度と血小板数の変動:全症例で投与前(day 1)からTPO濃度(fmol/ml)は測定可能であり(1.88±1.00),この値は健常成人でのTPO濃度(0.76±0.26)に比べ有意に高値であった。TPO濃度はday 4から急激に上昇し,day 15で最高値を示した後に低下しday 29にほぼ治療前(day 1)の値を示した。一方,血小板数はday 10より徐々に低下し,day 19で最低値を示した。 2.TPO濃度の変動とマルボプラチンの薬物動態パラメーター及び血液毒性との関係:血中蛋白非結合型プラチナ(UF-Pt)の濃度-時間曲線下面積(AUC;Area Under the Concentration versus time curve)とTPO濃度の最大増加率(TPO濃度最大値/TPO濃度前値)との間には有意な正の相関がみられ(r=0.76,p=0.019),カルボプラチンはAUO依存性にTPO濃度に影響を与えていると推測された。またday 8以降のTPO濃度の増加率(day8,10,12,15でのTPO濃度/TPO濃度前値)と血小板最低値との間には有意な負の相関がみられ(r=-0.83,p=0.009),カルボプラチン投与後のTPO濃度を測定することで,あらかじめ血小板減少を予測できる可能性が示された。さらに詳細なTPO濃度の変動とカルボプラチンの薬物動態・薬動力学的解析のため症例蓄積を継続中である。 3.カルボプラチン薬物動態のpopulation pharmacokinetics解析:予備的検討として既に有していた45症例のカルボプラチン薬物動態データを用いてAUCを正確かつ簡便に予測するモデル式を作成した(カルボプラチン投与開始後3時間のUF-Pt濃度をC_3とすると,AUC=0.93×C_3+0.47)。この45症例に本研究の11症例のデータを用いて,NONMEM(nonlinear mixed-effect model)の手法により,現在カルボプラチンクリアランスを予測する式を作成中であり,さらに予測式の精度を高めるため症例蓄積中である。
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[Publications] Fujiwakra,Y.: "Re:Prediction of carboplatin clearance from standard morphological and biological patient characteristics" Journal of the National Cancer Institute. 89. 969-970 (1997)
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[Publications] 宮崎満: "肺癌化学療法時の血清中内因性トロンボポエチン(TPO)濃度の動態に関する検討" 肺癌 第38回日本肺癌学会総会号. 37・5. 649 (1997)
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[Publications] 宮崎満: "肺癌化学療法時の内因性トロンボポエチン(TPO)濃度の動態に関する検討" 日本呼吸器病学会雑誌 第38回日本呼吸器学会総会プログラム. 36・増刊号. 227 (1998)
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[Publications] Miyazaki,M.: "Limited-sampling models for estimation of the carboplatin area under the curve" Auticancer Research. (in press). (1998)
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[Publications] Miyazaki,M.: "The relation ship between carboplatin AUC and thrombopoietin kinetics in patients with lung cancer" Proc.of the American Sociecy of Clinical Oncology. (in press). (1998)