1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09772054
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高長 ひとみ 九州大学, 薬学部, 助手 (20284523)
|
Keywords | 血管脳関門 / P糖蛋白質 / 膜輸送担体 / クローニング |
Research Abstract |
最近、脳において、異物の侵入に対する防御機構として機能するものとして、P糖蛋白質、耐性に働く蛋白質の存在が報告された。この他、薬物排出ポンプとしてMRP,GS-X pumpやcMOATなどの存在が報告されており、血液ー脳間の化合物の移行は血液脳関門に備わる各種の輸送メカニズムによって積極的かつ効率的に行われると考えられる。我々は、この様な未知の輸送系の発見を目的として本実験を遂行した。まず種々薬物の脳移行性に関してラットあるいはマウスを用い、in vivoでの血液脳関門輸送のinfluxとeffluxをintegration plot法及び脳灌流法を用いて速度論的に解析した。さらに、各々の化合物の脂溶性と脳移行速度及び脳からの排出速度との相関を解析した結果、いくつかの薬物についてその脳分布を制御する排出機構の存在が示唆された。そこで、さらにin vitro系における脳毛細血管内皮細胞透過性評価系として、マウス継代脳毛細血管内皮細胞(MBEC4細胞)を用いた取り込みあるいは経細胞的透過実験を行った。本実験系により、種々薬物の輸送特性の検討を行った結果、脳からの排出機構として、P糖蛋白質以外にも複数の脳解毒メカニズムの存在している事実が発見された。即ち、β-遮断薬であるブニトロロールについてP糖蛋白質による脳排出機構に加えてMRP関連蛋白質による脳解毒の可能性を見出した。この他、糖尿病治療薬であるトルブタミドを始めとするスルフォニル尿素化合物では、未知の脳移行性を制御する機構が存在することを発見している。また、シメチジンやラモセトロン等の様々な塩基性薬物についても何らかの排出機構の存在が示唆されている。現在は、脳からの物質排出輸送に関与するラット、ヒト遺伝子の同定に関する実験系として外来遺伝子発現系システムの確立を行った。
|