1998 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた中枢解毒機構のスクリーニング-血液脳関門における能動的物質排出-
Project/Area Number |
09772055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松尾 浩民 九州大学, 薬学部, 助手 (60274479)
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Keywords | 血液脳関門 / P糖タンパク質 / 膜融合リポソーム / アンチセンスオリゴヌクレオチド / MBEC4細胞 |
Research Abstract |
【目的】 血液脳関門における排出輸送機構および制御因子を明らかにするために、アンチセンスを用いた中枢解毒機能の定量的スクリーニング法の開発を目的とする。本研究ではマウス脳毛細血管内皮細胞(MBEC4)へ膜融合リポソームによるアンチセンスの導入についてFITCでラベしたアンチセンスオリゴヌクレオチド(FITC-ODN)を用い検討を行った。 【方法】 膜融合リポソームの調製:ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、コレステロールを基材とし、脂質薄膜を作成した。これにFITC-ODN溶液を添加し、振とうすることによりリポソームを調製した。さらに紫外線照射により不活性化したセンダイウイルス(HVJ)を加え、インキュベーションした後に融合していないHVJをショ糖密度勾配遠心法により除去し、FITC-ODN封入膜融合リポソーム(FITC-HVJ-Lip)を調製した。 膜融合リポソームによるMBEC4細胞へのFITC-ODNの導入:MBEC4細胞にFITC-HVJ-Lipを投与し、4℃で10分間、37℃で30分間インキュベーションした。その後、培地に置き換え、5分、1時間、1日、3日間培養した。各時間における細胞内蛍光強度の測定および蛍光顕微鏡による観察を行った。 【結果・考察】 FITC-HVJ-Lipで処理したMBEC4細胞においてのみ、FITC-ODN単独投与と比較し、強い蛍光シグナルが蛍光顕微鏡により観察され、この細胞内における蛍光シグナルは投与3日後でも認められた。また、蛍光強度測定の結果、FITC-HVJ-Lipを用いた方法ではFITC-ODN単独投与と比較し、約2.5倍高い蛍光強度が認められた。さらに、細胞内に導入されたFITC-ODNのほとんどがintactであることが示唆された。以上の結果より、膜融合リポソームはMBEC4細胞内にアンチセンスを効率良く導入可能であることが示された。
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