1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内輸送・分泌を制御する機能分子の探索;先天的分泌異常症モデルからのアプローチ
Project/Area Number |
09772057
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 泉 北里大学, 医学部, 講師 (90172999)
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Keywords | Brown Norway Katholiekラット / カリクレイン・キニン / 高分子キニノゲン / 分泌障害 / DOCA-saltラット / 高血圧症 / 腎カリクレイン |
Research Abstract |
細胞内で生合成された後に細胞外へと能動的に分泌されるタンパク質について、その分泌に必須な条件または機構を検討するにあたり、本研究課題では細胞内輸送・分泌を制御する機能分子の探索を行うことを目的として、分泌異常症モデルからの以下のアプローチを試みた。 1.Brown Norway Katholiekラットの高分子キニノゲンは、分子内の-アミノ酸置換が原因となり、肝臓からの分泌が著しく障害されている。そこでバキュロウイルスを用いて発現させたリコンビナント変異高分子キニノゲンおよび正常分子をプローブとして、変異分子の認識・選別に関与する細胞内因子を探索した。^<35>S-メチオニンで放射標識したCOS-1細胞のライゼ-トと、変異または正常分子を緩衝液中でインキュベート後、さらに抗高分子キニノゲン抗体およびProtein G-Sepharoseを添加して得た免疫沈降物をフルオログラフィーで解析した。その結果、正常分子とは結合せずに、変異高分子キニノゲンと特異的に結合する分子量約40KDaのタンパクが検出された。 2.deoxycorticosteroneacetate(DOCA)-saltラットにおける高血圧の発症の初期では、腎カリクレイン・キニン系が防御的に作用していることが既に報告されている。そこで、正常ラットとDOCA-saltラットの腎臓からのカリクレインの分泌を比較した。その結果正常ラットの腎スライスからは、10-20mMKCIにより腎カリクレインの分泌が観察された一方で、DOCA-saltラットではKCI刺激に対して反応がほとんど認められなかった。従ってDOCA-saltラットの腎臓では、腎カリクレインの分泌が障害されている可能性が推定された。
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[Publications] Masataka Majima: "Significant roles of inclucible cyclooxygenase (COX)-2 in angiogenesis in rat sponge implants." The Japanese Journal of Pharmacology. 75・2. 105-114 (1997)
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[Publications] 林 泉: "プレカリクレイン" 腎と透析. 43・増刊. 416-418 (1997)
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[Publications] 林 泉: "ブラジキニン" 腎と透析. 43・増刊. 422-425 (1997)