1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄移植(造血細胞移植)を待つこどもと家族の心理社会的準備と看護援助に関する研究
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09772076
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松岡 真里 千葉大学, 看護学部, 助手 (30282461)
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Keywords | 骨髄移植 / こども / 家族 / 心理社会的準備 / QOL |
Research Abstract |
平成9年度は、(1)骨髄移植(造血細胞移植:以下移植とする)を終えたこどもと家族の移植後の生活の実際と移植に対する思いを明らかにする。(2)移植後の生活や思いに影響を与えている要因を明らかにする、ことを目的に調査を行った。 また、調査に先立ち、移植前の心理状態や心理的準備、移植後のQOL、こどもの移植とその家族についての文献検討を行った。国外では、移植前の心理状態と移植後のQOLとの関連などに関する縦断的研究が広く行われており、移植後の生活に影響を与える移植前の患者の心理的要因が見いだされている。国内でも、移植中の患者のケアの工夫の他、移植前オリエンテーションや退院指導など、移植を受ける患者の心理社会面についての研究が年々増加していることが明らかとなった。しかし、成人を対象とした研究が多く、国内では特に、こどもを対象とした移植前の心理状態と移植後の生活に関する研究が少ないことは明らかとなった。 調査は、小児専門病院において、移植後2年以内で、現在外来通院中にこどもと家族に対しての面接及び質問紙調査とした。調査内容は、移植前の移植に対する考え方、移植後の生活をQOLの視点からとらえるものとした。現在までに承諾が得られ、調査を実施したのは、こども3名、家族7名である。 これまでの結果から、移植前に移植に対して、否定的な感情を抱いたり、移植後の生活がイメージしたものと異なると認識しているこどもでは、移植後の生活の満足度が低い傾向がみれらていた。また、ほとんどの親が、移植をしてよかったと思いたい、と述べていた。親の移植やこどもの生活のとらえ方については、移植までの体験や移植に対する考え方、移植中・移植後のこどもの状態、CVIIDや晩期障害の心配が関係していることが明らかとなった。なお、調査は進行中で、さらに対象数を増やし、分析を深める予定である。 平成10年度は、移植を待つこどもと家族への面接を行い、9年度の結果をもとに、移植前から必要となる心理社会的準備に関しての看護援助の視点を検討する予定である。 また、これまでの研究の一部を、平成10年10月に行われる国際小児がん学会に発表する予定である。
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