1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09772091
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 泰子 大阪大学, 医学部, 助手 (60283777)
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Keywords | 喘息の子ども / 家族 / ケアリング / 相互作用 / 体験 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、データ収集に先行して、インタビューと参加観察のトレーニングを、協カへの同意の得られた学童から中学生に対して行った。インタビューは病気で具合の悪いときに自分の周囲の人に対して思ったことや感じたこと、その後の関わり方を中心に4人に1時間前後3〜4回行い、同意の得られた対象に対してはテープ録音を行い逐次テープの内容を記録した。参加観察は病気の子どもと家族が集まる家族の会や野外活助の場面で行った。さらにインタビュー及び参加観察において子どもの行動がどのような意味を表しているのかを分析し、インタビューと参加観察に関して分析を行うとともに、喘息の子どもに対するケア経験の豊富な看護婦によるスーパーバイスを受けてデータ収集の信頼性及び妥当性を高めた。データ収集は、喘息の治療を専門病院において1年以上続けている学童および中学生を対象として開始した。比較分析のために他の病気の子どもも対象として、承諾の得られた施設で、参加の承諾の得られた外来通院中の学童および中学生に対してインタビューを定期的に行った。現在までに収集したデータの分析の結果、対象には以下の傾向があるとみなされた。1)子どもは自分の具合が悪いときに周囲の者に対してサポートを求める一方で何か自分のできることも相手に対してしたいという気持ちが強く、この傾向は普段反発を感じることの多い相手に対して強いものである。2)同じ病気で入院を共にした他児との間には強い絆があり、体験から得た情報の交換もさかんである。周囲のおとなに対する遠慮や反発等の体験の共有によって強まるものでもある。3)病院に対して安心のような肯定的なイメージを強くもち信頼している。今後はさらにビデオ撮影によるデータも加えて、対象を増やして家族や医療者、友人を含めて相互作用としてのデータの収集及び比較分析を継続し、子どもと家族のケアリングの意味について明らかにしていく。
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