1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09772112
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
掛本 知里 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 助手 (60254562)
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Keywords | 退職者 / 健康管理 / 職業保健看護 |
Research Abstract |
本年度は当初の計画に基づき、第1には文より退職者の健康管理に関わる研究の動向を明らかにするために、文献の検討を行った。その結果、退職者と健康に関わる研究の多くが、退職が健康に与える影響および健康状態が職業生活の継続に与える影響について検討している。また、日本における職業保健看護が活動の特徴として、欧米における職業保健看護活動が職業由来性の疾患の管理に焦点を当てているのに対し、日本においては、職業人の健康一般、特に成人病対策にその活動の焦点をあてているものが多い傾向にある。また、成人病対策の活動は、従来の結核管理方式で行っている場合が多く、労働者の健康管理に対する自己管理能力を高めるような健康管理を行っている場合は少ない。 都市部に存在する、かつて大企業で就労していた高齢男性の健康管理にかかわる行動について、面接調査により、その健康管理行動がどのように変化してきたかについて明らかにした。その結果、企業に就労していた間は、その健康に関わる問題に関しては企業の健康管理部門の指示に従う形で、健康管理をしていた。その職業生活が変化していく中で、就労している企業規模が縮小すると共に、健康については自己管理しなくてはならない部分が増加してくる。また、利用している医療機関についても、大企業に就労している際には、企業の医療機関を利用し、その後は職場近くの医療機関を利用する場合が多いが、就労形態が、常勤から非常勤へと変化するにつれ、居住地近くの医療機関を活用する場合が多くなっている。その際の、医療機関を決定する情報源としては、より地域に密着した生活を送っている妻から情報を得ることが多いことが明らかになった。また、現在の所健康問題がないとしている者については、居住地付近の健康管理に関する社会資源の存在について知識のない者もおり、また依然として就労していた企業の健康管理サービスを活用している者もおり、職業生活上の変化が生じても、健康管理については、以前の状況を維持している者もいた。 今後さらに、企業規模、かつての企業の健康管理体制の差等を考慮しつつ、退職者の退職後の健康管理状況について検討を重ねていきたい。
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