1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780005
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
堀内 かおる 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (00252841)
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Keywords | 家庭科 / 教師 / 教科イメージ / 教員養成 |
Research Abstract |
本研究は、教員養成並びに教師教育における望ましい家庭科教育プログラムの開発に寄与する基礎資料を得ることを目的として、家庭科担当教師や教員養成課程在学の大学生への面接調査、小学校教師に対する質問紙調査等を行い、教師の、家庭科担当者としての自己形成過程を分析するものである。平成9年度は、本研究の1年目に当たり、以下の点が明らかになった。 1.男女共学(普通科、定時制)および男子高等学校で家庭科を担当している教師に対し、個別にインタビューを行い、家庭科教師としての自己認識や教育実践の状況についてたずねた。その結果、平成6年度より高等学校家庭科の男女とも必修履修が始まってから、特に授業を進める上での男女差という観点からの困難は感じていないことが指摘された。また、他の授業で学習に困難を示すような生徒たちの中に、家庭科に意欲を示すものが見られ、生徒の新たな一面が表れる教科であることが示された。しかしその一方で、家庭科教師自身が、自分のことを「母親」にたとえてとらえており、学校の中の「母親」としての役割を担っていることがうかがえた。 2.神奈川県下の小学校教師に対する質問紙調査を実施した結果も、家庭科教師が「母親」にたとえられることを示していた。その理由としては、「暖かさ」や「愛情」を体現する存在であることがあげられていた。また、家庭科は「生きる力」の育成に寄与する教科であると見なされていた。 3.自由記述並びに面接調査の結果、教員養成課程で「初等家庭科教育法」を学ぶ学生たちは、受講前は家庭科を「家事の仕方を学ぶ教科」であると考える傾向にあった。しかし、半期にわたる講義受講後には家庭科観に変化が認められ、家庭科を「生き方や生活について考える教科」であるととらえるようになった。 以上の結果から、現場教師も学生も同様にステレオタイプな家庭科イメージを持っていることが明らかになった。しかしそのイメージも、授業実践によって揺さぶりをかけることにより、変容する可能性が示唆された。
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