1997 Fiscal Year Annual Research Report
食物性アレルゲンの消化管内侵入経路に関する免疫組織化学的・超微形態学的研究
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09780020
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
馬場 良子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (90271436)
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Keywords | 食物アレルギー / 消化管 / 空腸 / 回腸 |
Research Abstract |
食物アレルギー発症機序の初期的段階において、食物性抗原(アレルゲン)のような高分子物質が消化管の上皮層を通過するかどうかについて詳しく解明する目的で、本研究を行っている。平成9年度はラットの乳飲期、離乳期、成熟期の空腸および回腸において、高分子のトレーサーが消化管の管腔側から粘膜上皮層を通過し、粘膜固有層内へ侵入するかどうかについて免疫細胞化学的、超微形態学的に検索を行った。 各時期ごとに、正常な空腸および回腸像の観察を行った。走査型電子顕微鏡で観察した結果、成長につれ、小腸の管径は広がり、乳飲期(生後14日目)では長さの不揃いだった絨毛も成熟期では長さが増すと共に、揃っているのが観察された。絨毛は、回腸より空腸において発達していた。透過型電子顕微鏡で観察した結果、乳飲期の空腸吸収上皮細胞は母乳中の脂質を盛んに取り込んでおり、回腸吸収上皮細胞では、成熟期では見られないジャイアントライソゾームが核上部に見られ、高分子物質を盛んに取り込んでいるのが観察された。乳飲期ラットの小腸管腔内に高分子物質のトレーサーとして、horseradish peroxidase(HRP)を投与し、細胞化学的、超微形態学的検索を行った。その結果、HRPは空腸ではエンドサイトーシスによって吸収上皮細胞内へ取り込まれ、ライソゾームで細胞内消化を受ける経路と、ライソゾームを経由せず、細胞側壁へ移動し、細胞間隙から粘膜固有層内へ入る経路が示唆された。同時期の回腸では、HRPが細胞内へ大量に吸収されるのが観察されたが、ジャイアントライソゾーム内に運ばれて細胞内消化を受けるため、高分子の形での粘膜固有層への侵入は認められなかった。離乳期(生後23日目)および成熟期ラット小腸においては、HRPの吸収上皮細胞内への取り込みは認められなかった。しかしながら、パイエル板上皮細胞においては細胞内を通過する像が観察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 楠 喜久枝、藤田 守、松隈美紀、馬場良子、三成由美、田所忠弘、印南 敏、前川昭男: "カキの葉の組織構造並びに食物繊維成分について" 日本食品保蔵科学会誌. Vol.23(2). 65-75 (1997)
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[Publications] Fujita,M., Baba,R., Matsuguma,M., Kai,T., Nozaki,S., Miyoshi,M.: "Apical and basolateral endocytic pathways in absorptive cells of suckling rat adult rats small intestine in vivo" Digestion & Absorption. Vol.20(2). 113-118 (1997)
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[Publications] Baba,R., Matsuguma,M., Fujita,M., Kai,T., Nozaki,S., Miyoshi,M.: "Endocytosis by absorptive cells of the adult rats large intestine in vivo" Digestion & Absorption. Vol.20(2). 129-132 (1997)