1997 Fiscal Year Annual Research Report
月経前症候群を示す思春期女性の栄養状態の評価と、そのQOL向上のための栄養教育
Project/Area Number |
09780025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
井上 久美子 東京都立短期大学, 健康栄養学科, 助手 (90224360)
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Keywords | 潜在性鉄欠乏状態 / premenstrual syndrome / 月経周期 / 不定愁訴 / V.B_6 / 基礎代謝量 / 生活習慣 / 健康・栄養教育 |
Research Abstract |
思春期女性の多くが陥っている月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)は、ホルモンバランスの変化のみならず、月経周期に伴う栄養状態の変動が関連する。例えば鉄の代謝関連物質は、黄体期には卵胞期より減少するが、特に貯蔵鉄の低下した潜在性鉄欠乏者は変動幅が大きくPMSに陥りやすい。そこで、鉄の代謝関連物質をバイオマーカーとして用いながら、PMSの主兆候である不定愁訴の出現に直接的な関連が推察される栄養状態の変動と生活習慣を検討し、PMS予防のための健康・栄養教育の改善目的を明確にすることを試みた。 研究主旨に対しインフォームド・コンセントの得られた対象者(18-19y,n=73)について、潜在性鉄欠乏者と非貧血者、鉄欠乏性貧血者に分類し、あらかじめ2ヵ月間の基礎体温を記録させて月経周期の判定を行った。 1,PMS治療に用いられるV.B_6の血液中の濃度について、各グループの月経周期間の有意差は見られなかった。今後、より短期間の栄養状態を反映する尿中の4-ピリドキシン酸を指標に用いて検討を行いたい。2,「黄体期の甘味摂取量の増大」はPMSで高頻度に出現する不定愁訴であることから、基礎代謝の月経周期に伴う変動を仮定し、細谷式携帯用簡易熱量計を用いた安静時のエネルギー代謝量の測定を試みた。本機を常置し測定条件を均一にすることができず、各対象者の同月経周期内での大きなバラツキから月経周期間あるいはグループ間の差異を見るに至らなかった。3,各月経周期3日ずつの食事記録から算出したV.B_6摂取量には差異は見られないが、甘味の摂取量は非貧血者ならびに潜在性鉄欠乏者において黄体期の増大が見られた。生活習慣調査より、不定愁訴の多い潜在性鉄欠乏者は、明らかに就寝時間が遅く生活リズムが夜型に偏り、朝食の摂取回数も少なく排便習慣も不期則であった。また、常備薬への依存度が高いこと、ストレス解消度の低いことも明らかになった。
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