1997 Fiscal Year Annual Research Report
国際協力の視点から見た技術移転と人材育成の諸問題-金型技術を事例として-
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09780032
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
松原 克志 常磐大学, 国際学部, 講師 (90285750)
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Keywords | 研究制度 / 技術移転 / 技術教育 / 人材育成 |
Research Abstract |
いわゆる科学技術は高等教育機関で習得することができるが、基盤技術は企業内教育として習得しなければならない。そのため制度的には技術研修制度を利用することになるが、研修期間等が技術習得の如何に関わらず決められており、技術習得の困難さが指摘されている。国益保護の観点から基盤技術の流出を防止することは意味があるが、国際協力の観点から問題である。技術流出の防止と国際協力の観点から基盤技術の移転を考察した。 技術修得のための在留資格は科学技術の場合は「留学生」として与えられる。それに対し、基盤技術の場合、在留資格「研修」によって技術修得がなされる。実務研修は「実地において行う研修」であり、「生産現場で実際に生産に従事」しながら技術修得することである。「研修」による在留期間は1年であり、在留資格を「特定活動」に変更しなければ延長して在留することは出来ない。在留資格を変更した技能実習は雇用契約の下で実施される。そしてその在留期間は研修期間も含め3年である。3年延長が認められている「3年職種」は1997年11月現在、21職種である。 金型技術のように高度化された基盤技術では、金型技術を構成する要素技術が多岐にわたる。「金型技術」は技術の総体を指し、特定の「技術」を指すものではない。現在の金型技術を修得するためには、機械加工(フライス盤・普通旋盤作業、3年職種)、仕上げ作業だけではなく、NC旋盤・CAD・CAMなどを修得しなければならない。そのためには3年延長では不十分と考える。 高度化し総体化された基盤技術の修得は構成技術の修得の上に成り立つものであり、その移転は技術覇権の視点から国策ともいえる。技術修得の制度に技術覇権の視点がどのように盛り込まれているか明らかにするのが今後の課題と言える。
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