1997 Fiscal Year Annual Research Report
筋力トレーニング及び再トレーニングに関する基礎的研究
Project/Area Number |
09780056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教授 (50193321)
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Keywords | 筋持久力 / トレーニング / ディトレーニング / リトレーニング / 近赤外分光法 / 筋酸素動態 / ヘモグロビン / 筋血流量 |
Research Abstract |
これまでほとんど明らかにされていなかった、筋持久力トレーニングに対するトレーニング中止(ディトレーニング)及び再トレーニング(リトレーニング)によるパフォーマンスの変化とその生理学的背景を明らかにするため、6名の被検者を対象に、最大握力の1/3の負荷で疲労困憊までの掌握運動を1回/日、週6回4週間トレーニングさせ、次に4週間全くトレーニングを中止させ、再び同じ条件で4週間トレーニングを実施した。そして4週間ごとに、近赤外分光装置を用いて筋疲労時の筋酸素動態(総ヘモグロビン量、脱酸素化ヘモグロビン量)及び運動終了直後の筋血流Indexを測定・分析し、筋での酸素抜き取り能力や筋血流量の変化を検討した。また、同時に心拍数と血圧も測定し、中心循環系の変化も検討した。結果は以下の通りである。 1.運動時の総仕事量はトレーニングにより有意に増大し、トレーニングを中止すると低下するがトレーニング前のレベルまで低下せず、トレーニングを再開すると初回のトレーニング以上に大きく増大した。 2.総ヘモグロビン量の変化から求めた運動直後の筋血流Indexは、有意ではないがディトレーニング後までは給仕事量と同様の変化を示すが、リトレーニングではあまり変わらなかった。 3.運動時の脱酸素化ヘモグロビン量の増加率からみた筋での酸素抜き取り能力は、全期間中を通じて一定の変化を示さなかった。 4.運動終了直前の心拍数や平均血圧はトレニングにより増加するが、その後はその値を維持するに止まった。 このように、筋での酸素運搬能や抜き取り能力、中心循環系はパフォーマンスほどの顕著な変化が認められなかった。従って筋持久力トレーニングによるパフォーマンスの増大、特にリトレーニングによる筋持久力の増大には、筋での酸素摂取能力に加え、中枢神経系の興奮レベルや耐乳酸能の改善などの影響が推察された。
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