1997 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の運動能力評価における行動観察に基づく評価の妥当性と信頼性の検討
Project/Area Number |
09780061
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
村瀬 智彦 愛知大学, 教養部, 講師 (80263333)
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Keywords | 幼児 / 運動能力評価 / 行動観察評価 / 妥当性 / 信頼性 |
Research Abstract |
平成8年度は行動観察に基づき得られる運動能力に関する推定順位と実際の測定による実測値との対応関係について検討した.対象は年長幼児で,テスト項目は握力,背筋力,立ち幅跳び,20m走,円周連続片足跳び,小型ボール遠投,開眼片足立ち,反復横跳び,長座体前屈,伏臥上体反らしの10項目であった.順位の推定は幼稚園教諭が行った.測定及び調査は平成9年6月に実施した.中間段階での分析結果は平成9年8月に韓国ソウル市で開催された第45回日本教育医学会(兼第7回日韓健康教育シンポジウム)において口頭発表した.主な結果は以下の通りである. 順位推定の調査を一部の幼稚園教諭に対して2回実施することにより,観察者の行動観察に基づく運動能力に関する推定順位の再現性は高いことが確認された.推定順位と実測値との相関係数は全体的に中程度のテスト項目が大部分であった.比較的高い関連性が認められたのは男児の速度と女児の瞬発力であった。一方,女児では筋持久力,敏捷性,柔軟性(屈曲)の評価が特に困難であることが示唆された。運動能力を運動を起こすための要素(筋力,瞬発力等),運動を維持するための要素(筋持久力等),運動を調節するための要素(協応性,平衡性,敏捷性等)に分けて考えると,行動を起こすための要素については,行動観察により観察対象である幼児の運動能力の推定がある程度可能であるが,運動を調節するための要素については行動観察からの推定が困難であることが明らかになった.
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