1997 Fiscal Year Annual Research Report
下り走後の神経筋接合部の形態変化が骨格筋におよぼす影響
Project/Area Number |
09780066
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
西沢 富江 鳥取大学, 医学部, 助手 (30283980)
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Keywords | 伸張性収縮 / 筋損傷 / 神経筋接合部 / 直接・間接刺激張力比 / 電子顕微鏡観察 / 光学顕微鏡観察 / 第二次間隙 |
Research Abstract |
激しい運動や伸張性収縮を繰り返すことにより筋線維は損傷し、筋発揮張力の低下、時間経過にともなう直接刺激と間接刺激張力差が生じる。この差は、伸張性収縮によって神経筋接合部(NMJ)にも損傷が起こり刺激情報が阻害されていることと考えられる。光学顕微鏡観察から、筋損傷によるNMJ形態の異常がある時期には、張力低下を認めた。しかし、NMJ形態に変化がない場合にも張力の低下、直接、間接刺激張力差が生じる。そこで電子顕微鏡下でNMJを観察し、伸張性収縮がNMJの微細構造におよぼす影響を検討した。《方法》Fischer344系雌ラット(9週齢)に2時間の下り走(傾斜-15度,速度25m/min)を行わせた。下り走直後から2,4,16,24,48,60時間、5日後にEDLの直接電気刺激と支配神経からの間接電気刺激による強縮張力を測定した。測定後、筋縦断面のChE染色と銀染色を行った。光学顕微鏡下、電子顕微鏡下で組織像を写真撮影し,NMJの形態観察を行った。《結果・考察》光学顕微鏡観察から、伸張性収縮後のNMJには、神経終末の軸索分枝の減少、接合面積の縮小など退行の指標が観察された。Muscle End Plate(MEP)面積に対する神経終末接地面積は、下り走直後から減少し60時間後には、約40%まで減少したことから、神経からの情報伝達に何らかの影響を与えることが考えられる。電子顕微鏡観察からは、前シナプス側のMEPに接している軸策面積、シナプス前膜長には伸張性収縮の影響は見られなかった。下り走後の特に注目された変化としてSSC(secondary synaptic celft :第二次間隙)を形成する膜構造に輪郭の不鮮明さとcleftの広がりが観察された。電子顕微鏡像から観察される下り走後のNMJの微細構造への影響は、後シナプス側にみられた。このことから筋の構造が壊れるような激しい収縮活動は、NMJにも形態異常を引き起こしていることが示唆された。
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