1997 Fiscal Year Annual Research Report
大正期の総合型学習に見られる体育について(生活体育の先駆として)
Project/Area Number |
09780067
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 明哲 岡山大学, 教育学部, 講師 (70252947)
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Keywords | 大正期 / 総合型学習 / 体育 / 生活体育 / 奈良女子高等師範学校附属小学校 / 児童の村小学校 |
Research Abstract |
大正期の総合型学習に見られる体育を研究するため、奈良女子高等師範学校附属小学校(以下附属小と略す)と池袋児童の村小学校(以下児童の村と略す)を研究対象に選定し、史料の収集と考察を行った。 附属小に関する史料は現在の奈良女子大学文学部附属小学校において学習指導案などの実践史料を中心に収集し、一方児童の村に関しては筑波大学附属中央図書館において雑誌「生活学校」を、東京大学附属図書館教育学部分館では雑誌「新教育研究」などを収集することができた。しかしながら児童の村は現存しないため、史料収集に時間を要し、附属小で収集したような現場の実践を明らかにできるような史料の発掘には至らなかった。 上記の理由から今年度は附属小に関する考察を中心に進めた。附属小では「合科学習」と命名された低学年対象の生活重視の総合型学習が大正10年頃から実施されていたが、当初体育的な活動はそれほど活発には展開されておらず、郊外学習時における「自由遊び」だけであった。やがて実践の進展とともに学校行事が「合科学習」の中に取り込まれてくるようになると、運動会が体育的な活動に加えられるようになり、昭和にはいり「合科学習」の研究と実践とか最盛を迎えると児童の身体活動への認識が高まり、成果としての体育的活動が「合科学習」の中に加えられた。つまり「自由遊び」+体育的行事+正課の体育という3つの柱で「合科学習」における体育が構成されるようになったことが明らかになった。この構成は昭和20年以降、日本で実施された「生活体育」の発展過程と同一であると結論づけ、学会発表、投稿も行ったが、「生活体育との類似性」の根拠が十分に考察されていないとの批判を受けた。今後はさらに深い考察と児童の村に関する史料収集を大きな課題としたい。
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