Research Abstract |
本研究の目的は,一定の動作プログラムに基づくパフォーマンスが,効果器系の違いによってどのように影響をうけるのか,実験的手法を用い,発達的観点から検討することである.本年度は当初の計画から,研究全体の実験手法を確定するための予備的段階であり,第一次データとして収集した課題動作遂行実験の結果を公表した.以下にその概要を記す.当該研究は,ヒトが『任意の速さ』,外的に『規定されたテンポ』での反復動作(タッピング)を行った際,同一の時間的規制に対し,動作部位の違い(利手,非利手,両手同時,両手交互)によって,出力の時間的調整がどのように異なるか,成人との比較から子どもの特性について検討したものである.速さの最大能力発揮においては,ほとんどの被験者で「交互」<「利手」<≒「同時」<「非利手」という順序で動作速度は速かった.4動作部位のうち,「両手同時」と「両手交互」の動作速度を比べてみると,どの被験者でも「交互」が速く,また「同時」に対する時間の割合は,平均で成人が62%,子どもが76%で両者には有意差がみられ,子どもでは両側の切り替えに要する時間が長いことが示唆された,成人では,自己の快適なテンポには動作部位によって違いがみられるが,規制されたテンポに対しては四つの動作部位とも同一に速度調整が可能であり,意識的抑制がどの部位でも同様に可能であるのに対して,低年齢児では,自己のテンポは出力部位によって変わらず,逆に抑制的調節場面において,その動作部位が影響するものと考えられた.子どもについて年齢的にみると,12歳女児ではどの課題においても成人とほぼ同様の値および傾向がみられたが,6〜10歳の間で年齢に伴う発達的変化の傾向は顕著ではなかった.このことは,今後,対象者を増やすことによってさらに詳細に確かめたい.なお,同実験研究の遂行過程および結果から測定機器の改良を行った.
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