1997 Fiscal Year Annual Research Report
伸張性収縮によるラット下腿三頭筋線維損傷への核DNA酸化機構の役割
Project/Area Number |
09780090
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
只野 ちがや 東邦大学, 医学部, 助手 (40261094)
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Keywords | 8-hydroxy-deoxyguanosine / deoxyguanosine / 運動 / 運動誘発性筋損傷 / 活性酸素 / 骨格筋 / ダウンヒル / ラット |
Research Abstract |
本研究では,運動により誘発された筋のダメ-ジとその回復過程における骨格筋核DNAの酸化的損傷について検討することを目的とした.実験にはwistar系雄性ラット(♂,10〜11週齢)を用い,トレッドミル(20m/min,60分間連続)により運動パターンによる下腿三頭筋のダメ-ジを比較検討するため,水平走行(勾配0°,L群)と登坂走行運動(勾配+17°,UH群),降坂走行運動(勾配-17°,DH群)を行った.その結果,運動後のヒラメ筋の光顕組織像(hematoxylin & eosin)ではL群よりDH群で筋線維のネクローシス像や横紋の乱れが著しかった.一方,運動後の腓腹筋の活性酸素(ROS)による核DNAの酸化的損傷(8-hydroxy-deoxyguanosine/deoxyguanosine,8-OH-dG/dG)は,L群で変化しなかったが,UH群とDH群では増大(8-OH-dG/dG値が上昇)し特にDH群の値の上昇が著しかった.ヒラメ筋の8-OH-dG/dG値はL群で変化しなかったがDH群で高値を示した.次に,DH群のヒラメ筋と腓腹筋についてDNAの酸化的損傷を検討したところ,運動直後では両筋の8-OH-dG/dG値とも上昇したが,その後3日間の回復過程ではヒラメ筋は2日目で非運動群の値まで回復したが,腓腹筋は3日目まで高値を示した.以上の結果より筋のダメ-ジは運動パターンの影響を強く受けると考えられ,特に降坂走行により多発する筋線維の組織学的損傷とROSによる核DNAの酸化的損傷の関連性が示唆された.また,ヒラメ筋と腓腹筋の回復過程での8-OH-dG/dG値の比較から核DNAの酸化的損傷の修復速度は協働筋の間で異なっていることが推察された.
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