1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780103
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Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 まゆみ 筑波技術短期大学, 一般教育等, 助手 (00223339)
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Keywords | 聴覚障害者 / 運動 / 視機能 |
Research Abstract |
聴覚障害者の運動時における視機能,およびその役割について,現状と問題点を把握するために今年度はアンケート調査およびボディコントロール能力の測定を実施した。対象は筑波技術短期大学生140名でいずれも聴覚障害者である。その結果,全体の62.8%にあたる88名の学生が裸眼視力0.4未満であることがわかった。そこで運動時の視力矯正状態や見え方,不自由なことなどについて調査した。その結果,体育の授業を含む陸上で行う運動時にめがねやコンタクトレンズなどの視力矯正具を外した状態のものは33.3%であり,健聴者を対象に行ったアンケート結果の55%に比べるとその割合が少ないことがわかった。聴覚障害者にとって「視機能」は聴覚の代償として情報を取り込むために健常者以上に運動において重要な意味を持つと思われ,聴覚補償のための補聴器とともに視力矯正具であるめがねやコンタクトレンズの果たす役割は低視力者にとって重要である。しかし運動中は外れやすい,活動しにくい,外すものだと思っていた等の理由で裸眼のまま運動する場合もある。特に水泳ではその傾向が強く,全体の94%が裸眼のまま運動や授業に参加していることがわかった。その結果プールサイドでモノや人に接触するなどの危険な思いを経験したことがある者の割合が26%であった。授業時では指導者の手話や口話による説明がよくわからない,黒板に書かれた文字が読み取れない,試技がみえず内容がつかめないなどを訴える者の割合がそれぞれ50%を越えた。これらの結果は視力の低い聴覚障害者が,体育の授業や運動時に不安定な状態に置かれていることを示唆するものである。また裸眼視力が0.6以下で日常は視力矯正を必要としていない者の中にも同様の訴えがあるため,平成10年度は運動そのものが視機能に及ぼす影響について引き続き実験を行い,聴覚障害者における運動と視機能とその役割について検討する。
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