1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780109
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
赤滝 久美 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究員 (30280811)
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Keywords | 筋音 / 筋電図 / 運動単位 / スペクトル解析 / 二分脊椎症 / 大腿四頭筋 / 等尺性筋収縮 |
Research Abstract |
筋音とは筋線維が収縮する際に,その径が側方に向けて拡大変形するために発生する一種の圧力波である。体表面上で記録される筋音は,各筋線維が発生させた圧波の重畳であり,筋の機械的活動を反映する。これまでの研究において,筋音の振幅および周波数成分は,活動する運動単位のタイプに依存した変化を示すことが示唆されてきた。このことは筋音計測によって,活動筋において活動運動単位をタイプ毎に無侵襲で機能分析し得る可能性を示すものである。しかしながら,筋音と運動単位活動様式との関係は未だ実証されたとはいい難い。そこで,本研究は,速筋線維の選択的萎縮を有する疾患筋,および,健常筋より得られた筋音の特性を比較分析し,筋音と運動単位活動様式との関係を明らかにすることを目的とした。 本年度は,大腿四頭筋の随意収縮が可能な麻痺レベル(L4以下)の二分脊椎疾患者(10名),および,同年齢域の健常者(10名)を対象とし実験を行った。被験者は,特別に制作した筋力計測装置を装備した椅子に座り,大腿四頭筋による10〜100%MVCに相当する9種類の等尺性筋収縮を行った。筋音は,ピエゾ素子を用いた小型加速度センサーを大腿直筋上に両面テープを用いて貼付して導出した。また,同時に表面電極による筋電図も導出した。さらに,二分脊椎疾患者の筋萎縮を形態的に評価するために,X線CTによる大腿四頭筋断面積の撮影を全被験者に対して行った。 今後の予定としては,まず,記録された筋音,筋電図信号について周波数解析を行い,推定されたパワースペクトルより収縮力に伴うパワーの推移と周波数成分の変化を定量的に分析する。また,CT画像によって計測された筋の形態的特性と筋音信号との関係を分析する。さらに,健常スペクトルと異常スペクトルとの違いより,筋音と運動単位活動様式との関係を明確にすることを試みる予定である。
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