1997 Fiscal Year Annual Research Report
近世大和高原地域における十九夜講伝播と宗教景観形成に関する社会地理学的研究
Project/Area Number |
09780119
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
島津 俊之 和歌山大学, 教育学部, 助教授 (60216075)
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Keywords | 十九夜講 / 文化伝播 / 社会地理学 / 宗教景観 / 大和高原 |
Research Abstract |
本年度の研究は、以下の二つの研究課題について明らかにするため、主として既存の文献資料の収集・分析と現地調査を行った。 (1)<制度>としての十九夜講が、どの村落からいかなるかたちで空間的に伝播していったのか。 (2)十九夜講が伝播した各村落において、いかなる規模の社会集団が十九夜講の行事を担い、かつ十九夜供養碑の宗教景観をつくりだしたのか。 文献資料の収集・分析、および現地調査のいずれも、いまだ途上であるため、それほど明確な研究実績が得られたというわけではないが、平成9年度末の時点での研究実績の概要は以下のようにまとめられる。 研究課題(1)については、十九夜講伝播の起源村落として、現在の奈良市忍辱山地区が浮かび上がってきた。その村落から、十九夜講がおおよそ同心円状に伝播してゆく過程が、十九夜講碑の紀年銘の分布状態から推測される。 研究課題(2)については、十九夜講行事を担う社会集団は近世の藩制村レベルではなく、それを構成する小地域集団(村組や近隣組など)レベルであるケースが多かった。近世の村組や近隣組といった小地域集団が、十九夜講伝播の担い手となり、十九夜供養碑の宗教景観をつくりだしていったケースが多いようである。
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