1997 Fiscal Year Annual Research Report
近代フロンティア地域における都市空間の成立に関する比較地誌的研究
Project/Area Number |
09780129
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
廣松 悟 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (00242925)
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Keywords | 近代都市 / 比較地誌 / 北海道 / 近代フロンティア地域 / カナダ平原州 |
Research Abstract |
本研究は、北海道における明治以降の近代都市の成立過程について、連邦形成期の北米カナダ平原諸州における都市発達を比較のための準拠事例として明確に位置づけた上で、近代国家の領域拡大とその確定過程の中で新たな「開発フロンティア」となった地域における、新しい近代都市空間及び都市システムの成立とその成長過程に関する制度及び社会的な諸条件について、実証及び比較の両面から再整理することをその最終的な目的としたものである。初年度の実証作業しては第一に、わが国における明治期以降の北海道を主な対象領域に、また19世紀後半以降の北米平原諸州地域(とりわけ、旧英領北アメリカ/1867年のコンフェデレーション以降の自治領カナダにおける当該地域)を主要な準拠地域としてとりあげ、近代日本や自治領カナダといった新興国民国家における「遠隔開発フロンティア地域」での市街地・初期的都市形成の実態について、区政や町村制等の制度的展開や関連する様々な都市公益・社会諸事業の展開などの都市空間上相異なるレベルにおける政治行政的実践に関連した系統資料及び地誌史資料の整理を、助成によって導入したパーソナルコンピュータを使用してデータベース化する作業に主に着手してきた。これは、過去の助成によって既に着手していた私的なデータベースを更に充実するとともに、その設計についてもカナダの専門家のレビューに基づいて再検討を加えたうえで実行したものである。これにあわせて、英領北アメリカ(後のカナダ)や西領南アメリカ(特にパラナ諸国)等新大陸近代における長期の遠隔地植民地支配地域に関連した様々な近代都市成立関連諸文献を、比較地誌学的な視野のもとに再検討を進めた。また、初期的な都市計画の検討に関しては、様々な地図情報データの収集とその再現に関する検討にも着手した。更にカナダ側の問題についても、現地の専門家との直接間接の討論を通じて検討を重ねた。
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