1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780133
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大平 明夫 宮崎大学, 教育学部, 講師 (00262824)
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Keywords | 沖積低地 / 泥炭地 / 泥炭層 / 北海道 / 完新世 |
Research Abstract |
北海道北部,大沼(稚内大沼)周辺低地における完新世中期以降の相対的海水準変動を復元し,泥炭地の面積変化との関連を検討した.大沼周辺低地の泥炭地は,約6000年前の高海水準期以降,1000年あたり約6.7km^2の速度で発達したが,海水準変動と関連してその速度は若干変化していた.約3600〜2600年前には約2mの相対的海水準低下を示し,泥炭地はこの1000年間に約7.9km^2拡大した.海水準低下期を含むと推定される約6000〜3600年前の拡大速度も1000年あたり約8.1km^2とやや高くなっていた.また,海水準低下期における泥炭地拡大速度が明瞭には高くならなかったのは,デルタ頂置面の拡大速度が大きくは増加しなかったためと考えられた.一方,クトネベツ川低地における完新世中期以降の泥炭地の面積を測定した結果では,大沼周辺低地と異なり,海水準低下期に泥炭地が大きく拡大していた.海岸砂丘背後の沖積低地は,最終氷期の緩斜面を覆う泥炭地(約3.7km^2)と沼沢地を覆う泥炭地(約3.5km^2)に分類される.後者の泥炭地は,約3600〜2900年前にその約65%(約2.3km^2)が形成されていた.約3600年前以前の海岸砂丘背後は,イオウ分析・珪藻分析結果から汽水のごく浅い沼沢地の環境が復元される.よって,海水準低下が,沼沢地の淡水化,水深低下,砂州の閉塞強化をもたらし,急速な泥炭地の拡大に結びついたと考えられた.さらに,道東の十勝川下流低地においても予察的調査を行った.十勝川下流低地の完新統は,約7800〜6700年前を示すデルタ底量層をデルタ前置層(砂質層)と頂置層(泥炭質層)が覆う.泥炭層の層厚は約2〜5mであり,泥炭地は約2000年前までに現在の規模に近い面積が形成されていたと予測された.これまでの研究で,沖積低地における泥炭地(中間型・氾濫原泥炭地)の拡大は,完新世中期以降の海水準変動,堆積場の地形,河川の土砂供給が関与すると考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 方晶・海津正倫・大平明夫: "オホーツク海沿岸,頓別川低地における泥炭層のAMS^<14>C年代" 名古屋大学加速器質量分析計業績報告書. IX. 149-154 (1998)
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[Publications] Akio OHIRA: "Holocene palaeoenvironmental changes and fluvial activity in the Sarobetsu Lowland,Hokkaido,northern Japan" GLOCOPH'98 Abstracts of conference papers. 65 (1998)