1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780135
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (60273827)
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Keywords | 氷河関連堆積物 / 年代測定 / 熱ルシネッセンス(TL) / 光ルシネッセンス(OSL) / 南極氷床 / ロジメントティル |
Research Abstract |
平成9年度は,以下のような調査研究を行った. 1.第38次南極観測隊(平成8年11月〜平成9年3月)で研究代表者が採取した南極氷床関連堆積物の一部についてγ線スペクトロメトリによる年間線量の測定を行った. 2.上記試料の中から,ロジメントティルと考えられる堆積物について,試料中の石英粒子を抽出し,そのTL信号・OSL信号の線量依存性を調べた.その結果,相対堆積年代の古いロジメントティルから抽出した石英粒子のTL・OSL信号は,付加線量に対して飽和の傾向を示したものの,相対堆積年代の新しいロジメントティルから抽出した石英粒子のTL・OSL信号中には,直線的な増加を示すものが存在することがわかった. 3.上記2と平行して,試料石英を自動メノウ乳鉢で粉砕・細粒化した場合のTL・OSL信号特性を検討した.その結果,TL信号は粉砕・細粒化時間5分で55%,20分で30%,OSL信号は粉砕・細粒化時間5分で50%,20分で20%程度にまで減少することがわかった. 4.2,3の結果は,氷河関連堆積物のうち,南極氷床に由来するロジメントティルには,TL・OSL年代測定の対象となりうる試料が存在することを示唆するものである.この成果の一部は平成9年8月に開催されたESR応用計測研究会(於:新潟大学)で口頭発表した. 5.次年度の研究に向け,南極氷床のロジメントティルに挟まれた湖底堆積物中の有機物について炭素14法による年代測定を,カルサイト結晶について炭素14法とTL法による年代測定を試みた.平成10年度は,これらによって年代の明らかになった層準を挟むロジメントティルについて,具体的な年代の検討も行う.
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