1997 Fiscal Year Annual Research Report
中等理科教師の力量形成の方策に関する比較教育史的研究
Project/Area Number |
09780142
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
磯崎 哲夫 広島大学, 教育学部, 講師 (90243534)
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Keywords | イギリス / 中等教員養成 / 理科教師 / 教育実習 |
Research Abstract |
本研究では、比較教育史的アプローチを用いて、主題を中等理科教師の力量形成の場としての教育実習とし、比較の主体を日本に、客体をイギリスに設定した。 本年度は、第二次世界大戦前(とりわけ19世紀後半から20世紀初頭)のわが国及びイギリスにおける教員養成制度と、教員養成カリキュラム上における教育実習の位置づけについて検討を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 1,中等学校理科教師の養成は、戦前においては、わが国の場合、教育に対する国家の直接的関与の結果、目的的学校(高等師範学校)、無試験検定(帝国大学等)、試験検定の3つのルートが設定された。中等学校に占めるこれら3つのルートで養成された理科教師について、統計的に検討してみると、理科諸科目によって、それぞれのルートの占める割合に顕著な違いが認められた。一方、イギリスの場合、教育に対する国家の直接的関与が抑制された結果、中等学校教員養成の制度化は、20世紀初等まで待たねばならなかった。 2,中等学校教師養成カリキュラムにおける教育実習の位置づけは、わが国の場合、高等師範学校設立当初より、質的(内容・方法及び種類)にも量的(実習期間)にも重視されており、教育実習は養成教育総仕上げの場として見なされていた。一方、イギリスの場合も、法的整備が次第になされるようになった20世紀初頭には、1年間の養成課程において、教育実習は専門職訓練の場として非常に重要視されていた。イギリスにおけるこの伝統は、脈々と受け継がれており、今日の中等教員養成システムにも活かされている。
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