1997 Fiscal Year Annual Research Report
算数に困難を示す児童のCAIにおける課題解決過程の評価システムの開発と利用
Project/Area Number |
09780145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
東原 文子 筑波大学, 心身障害学系, 助手 (60272150)
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Keywords | 学習障害 / 学習困難 / 算数 / CAI / 学習評価 / 認知心理学 / 特殊教育 / 教育工学 |
Research Abstract |
本研究では,算数に困難を示す児童のためのCAI教材における課題解決過程の評価の観点を課題ごとに設定し,既に開発したCAI教材の中に,課題解決過程の評価結果がCAI実施中に教師に示されるような評価システムを開発して組み入れ,このシステムが学習困難児に対する指導手続きの見直しに役立つことを事例検討で明らかにすることを目的とした。 本年度は,この5年間に筆者が開発してきた小学校1〜3年の算数における計算方略学習用の9つのCAI教材について,まず,課題毎に評価観点を設定し,これらの観点を用いた課題解決過程の評価システムを開発して教材に組み込んだ。例えば,画面上のタイルの合成・分解を用いて繰り下がりの減法を学習するCAI教材では,移動すべきタイルを迅速に正しくポインティングできたかどうかが評価の観点となるが,学習者の解答所要時間のデータが各試行ごとにコンピュータに蓄積されており,教師が見たい時にいつでもそのデータが折れ線グラフとして画面に提示されるようになった。 本システムを利用することにより,学習困難を抱える小学生の個別指導にあたり,折れ線グラフを随時参照しながら,指導手続きを修正することが可能になった。本研究は,現在通常学級において教師の目の行き届かないでいる軽度障害児に対し,CAIを通して学習のつまずきを詳細に診察し,クラス全体の授業の流れをくずすことなくこれらの子ども達にも適切な援助の手を差しのべることのできる新しい個別援助システムを構築するために貢献すると考えられる。
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